カール五世の前に立つラス・カサス の商品レビュー
(2005.03.21読了)(2005.02.23購入) 副題「南米征服者時代の諸情景」 1992年は、コロンブスが新大陸に到達して500年記念の年だった。この本も多分それにあわせて企画され出版されたものだったのだろう。出版された時から買おうかどうしようかと悩んで、10年以上過ぎ...
(2005.03.21読了)(2005.02.23購入) 副題「南米征服者時代の諸情景」 1992年は、コロンブスが新大陸に到達して500年記念の年だった。この本も多分それにあわせて企画され出版されたものだったのだろう。出版された時から買おうかどうしようかと悩んで、10年以上過ぎてしまった。値段が少々高いので、おいそれとは買えなかった。 西垣通さんの「1492年のマリア」を読んで、この本を思い出し、買い込んで読んだ。 ラス・カサスは、コロンブスが新大陸を発見してから10年後の1502年に父と共に新大陸に渡り、スペイン人たちのインディオに対する扱いを見て回心し、修道士となり、インディオへの布教とその保護に生涯を捧げた人です。 「インディアスの破壊についての簡潔な報告」「インディアス史」と言うような著作も残しています。「コロンブス航海誌」も現在残っているのは、「インディアス史」のために、ラス・カサスが編集したものと言われます。 ラインホルト・シュナイダーは、第2次大戦の中、ユダヤ人が人間扱いされていないのを非難する意味を込めてこの本を書いたそうです。新大陸では、インディオは、人間扱いされていなかったのです。神学者たちの間で、インディは、人間か否かと言うことが論争されていたのですから、信じがたいことです。当時のスペインでは、魔女狩りも行われ、魔女の存在が信じられていたわけですから、ありえないことではなかったといえるかと思います。 この本には、一攫千金の夢を抱いて海を渡って行ったスペイン人たちの、新大陸でのインディオとの取引の様子。奴隷売買の様子。鉱山労働の様子。等が書かれ、ラス・カサスが、スペインに戻り、インディオの開放を求めて、カール五世に訴える様子が描かれています。ラス・カサスに対して反論するセプールベダの様子も描かれています。 設定が史実とは違うようですが、小説なので、許されることかと思います。 宗教家と言うのは、人間を幸福にする道を説いて、一生懸命尽くす姿には、感心しますが、幸福になる道は、自分の信じる宗教に入信するのが最善とするのにはうんざりします。 いろんな道、いろんな可能性というものを許す広い心を持って欲しいものと思います。 著者 ラインホルト・シュナイダー 1903年 南ドイツ生まれ 1937年-38年 「カール五世の前に立つラス・カサス」を執筆 1958年 死去 (「BOOK」データベースより)amazon スペインによるアメリカ原住民への暴虐を暴露した「インディオの父」=ラス・カサスを主人公とする歴史小説。ドイツの良心といわれた国内亡命者シュナイダーのナチへの抵抗文学の代表作。国際先住民年にふさわしい一冊。訳者による「シュナイダーの生涯と作品」を付す。
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