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蛇を殺す夜 の商品レビュー

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2015/05/30

圧倒的心理描写の述懐論理ミステリー小説。この分野では他の追随を許さない完成度だろう! ドイツ文学的に哲学を志向しつつ、かなり個性的なキャラクターが大学生活を謳歌する。屈折した物語作りも大学時代に味わう青春の蹉跌を標榜させている。 何より文章能力の巧みさが際立っている。 主人公の人...

圧倒的心理描写の述懐論理ミステリー小説。この分野では他の追随を許さない完成度だろう! ドイツ文学的に哲学を志向しつつ、かなり個性的なキャラクターが大学生活を謳歌する。屈折した物語作りも大学時代に味わう青春の蹉跌を標榜させている。 何より文章能力の巧みさが際立っている。 主人公の人間関係の苦悩を文学表現で醸し出しながら、謎を摘出してみせる。 文学の味わいとミステリーの魅惑を感得させてくれる好書と言える!!

Posted byブクログ

2012/11/22

豊饒な言葉の海は、馬鹿騒ぎと悪ふざけのうちに、いつしか迷宮への階段を一段ずつ降りていく。あるときふと立ち止まれば、そこには邪悪な気配に満ちた闇の中に独り取り残された自分を見つける。慌てて振り返ってみれば、そこはまったく空虚な暗黒空間の穴がぽっかりと開いているだけである。寄る辺のな...

豊饒な言葉の海は、馬鹿騒ぎと悪ふざけのうちに、いつしか迷宮への階段を一段ずつ降りていく。あるときふと立ち止まれば、そこには邪悪な気配に満ちた闇の中に独り取り残された自分を見つける。慌てて振り返ってみれば、そこはまったく空虚な暗黒空間の穴がぽっかりと開いているだけである。寄る辺のない孤独感と不安感。どこからか聴こえる嘲笑の合唱。 いつでもそんな印象を深く残す、これぞ奥泉節!を十分に堪能できる一冊である。普通の小説に飽き足らないマニアックな方にお薦めしたい(笑)。それにしても奥泉さんの表現力はものすごい。ラストは相変わらず不可解だが(苦笑)。 「暴力の舟」 青臭い理想や希望が、世界や時代の抗いがたい大きな力に打ちのめされる物語。青臭さは憧れであり、反面で憎しみの対象でもある。そしてまた、純粋な理想や希望もまた、いつしか暴力や憎しみに侵食されていくのだった。(余談ですが、マルクスの説明がとてもわかりやすいぞ。) 「蛇を殺す夜」 もう悪ふざけとしか思えない。思考の堂々巡りの描写に大爆笑。これを笑えたら貴方もきっと奥泉病。大げさな比喩や、飛躍しすぎる妄想の遊園地。あ、いや、小動物園かぁ。

Posted byブクログ

2009/10/04

この本に収録されている「暴力の舟」は、個人的に非常に思い入れが強い。 今まで読んだ日本文学の中でも出色の一作。 何故好きなのか?何故面白いのか?理由がさっぱり分からないから、何度でも読んでしまう。

Posted byブクログ