夢野久作全集(3) の商品レビュー
「卵」が短いけれど、…
「卵」が短いけれど、その不気味さが秀逸です。いったい何がうまれたのか。そもそもこの卵はどこからきたのか・・・
文庫OFF
『夢野久作全集」はい…
『夢野久作全集」はいくつもあるが、本書が1番のお気に入りである。
文庫OFF
猟奇歌、あやかしの鼓…
猟奇歌、あやかしの鼓、押絵の奇蹟、童貞、鉄鎚、怪夢、ビルディング、他
文庫OFF
夢野久作のデビュー作「あやかしの鼓」、出世作「押絵の奇蹟」、巻頭に「猟奇歌」、あとは短編がズラッと収録されている全集。第3巻。 なにより良かったのがやっぱり「押絵の奇蹟」。丁寧さといい緻密さといい群を抜いていると思った。夢野久作の描く登場人物は、人物像が曖昧というか画一的という...
夢野久作のデビュー作「あやかしの鼓」、出世作「押絵の奇蹟」、巻頭に「猟奇歌」、あとは短編がズラッと収録されている全集。第3巻。 なにより良かったのがやっぱり「押絵の奇蹟」。丁寧さといい緻密さといい群を抜いていると思った。夢野久作の描く登場人物は、人物像が曖昧というか画一的というか(そう感じても読者をぐんぐん引き込む魅力があるのが凄いところ)、物語全体の不気味さも相まってぼやけた印象になりがちなのだが、彼には珍しい非常に細やかな描写のおかげで(娘の手紙という形式をとっているからか?)人物像が捉えやすく、それが終盤の焦燥感や切なさをよりリアルに読者に与えていると思う。真相が分からないところがまた、、、余韻が素晴らしいです。 「鉄鎚」も個人的にはすごく好き。「押絵の奇蹟」みたいな丁寧さはないが(多分主人公が細やかな感性を持っていないから)、分かっていながら堕ちていく人間の愚かさ、切なさ、冷たさ、愛しさが、道端の石ころくらいの大きさと粗暴さで凝縮されている作品。 ほんの数ページの短編でありながら、幻想的な美しさを感じさせてくれるのが「髪切虫」。夢野久作には珍しく叙情的な文章。こんな文章も描けたの?驚きました、、、 詩とかはよく分からないから「猟奇歌」は、なんか上手いこと言っとるなー、こんなことばっか考えてたんかなー、くらいの感想。「涙のアリバイ」みたいな、映像を文字に起こして描写しよう!みたいな試みはドグラ・マグラに通ずるものがあってよき、というかこんな試みを実践してる人、私は夢野久作しか知らないんだけど本当にすごいなと思う。「怪夢」は何故か夏目漱石の夢十夜を思い出しました。雰囲気全く違うけど。 夢野久作にしか描けない「エロ・グロ・ナンセンス」が全方位から感じられた全集。本当に秀逸な作家だと思います。
Posted by
文章上達トレーニングの27節から。 縊死体のオリジナルの後半を知りたく読んだ。 縊死体、解説(逢坂剛)のみ。 私は、文章上達トレーニングの著者の書く後半の方が好みだった。 解説は「久作の文章のうまさには、ほとんど舌を巻いてしまう。ことに人が死ぬ場面、人を殺す場面を描いて、これほど...
文章上達トレーニングの27節から。 縊死体のオリジナルの後半を知りたく読んだ。 縊死体、解説(逢坂剛)のみ。 私は、文章上達トレーニングの著者の書く後半の方が好みだった。 解説は「久作の文章のうまさには、ほとんど舌を巻いてしまう。ことに人が死ぬ場面、人を殺す場面を描いて、これほど鮮烈な映像を浮かび上がらせることのできる作家は、今の時代にもほとんど皆無である。」と評する。
Posted by
いい短編がたくさん詰まっていて面白かった。 読みやすいなぁという話はだいたい他の出版社から別の短編集で出てるので、読んだことある話が結構あったが…。 猟奇歌はとにかく素晴らしい。名前の通り猟奇的な内容だが、フレーズが頭の中に残る。こういう詩?みたいなのは結構さらっと読んじゃって...
いい短編がたくさん詰まっていて面白かった。 読みやすいなぁという話はだいたい他の出版社から別の短編集で出てるので、読んだことある話が結構あったが…。 猟奇歌はとにかく素晴らしい。名前の通り猟奇的な内容だが、フレーズが頭の中に残る。こういう詩?みたいなのは結構さらっと読んじゃって忘れてしまったりするんだけど、これはすごく残る。 やっぱり夢野久作はすごい…。
Posted by
あぁ素敵…の一言。煮詰めて煮詰めてとろりとした焦げる手前のキャラメルみたいな魅惑的な狂気。美しい言葉に詩的な文章。今回特に好きなのは<押絵の奇蹟><鉄鎚><怪夢>〜<卵>の流れ、<霊感!><悪魔祈祷書>。<猟奇歌>は、呟くように声に出して一人布団に包まって空気に酔いながら読んだ。...
あぁ素敵…の一言。煮詰めて煮詰めてとろりとした焦げる手前のキャラメルみたいな魅惑的な狂気。美しい言葉に詩的な文章。今回特に好きなのは<押絵の奇蹟><鉄鎚><怪夢>〜<卵>の流れ、<霊感!><悪魔祈祷書>。<猟奇歌>は、呟くように声に出して一人布団に包まって空気に酔いながら読んだ。更に私的メモだけど、この本は先日長野に行った時に「遊歴書房」という古書店で購入。あまりにも素敵な、本当に素敵な空間だったので、状態がきれいな第一刷なため元値の倍だというのにもかかわらず、記念に買ってしまった。うん、満足!
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
猟奇歌 解題を読むとどうやら他の人が同じようなテンプレートで作ったものは全然面白くなかったらしく、やっぱり夢野久作ってすごい あやかしの鼓 すごいすごいと聞いていて、その評判を知ってから読んでしまったのでハードルが高くなってしまっていたけど、鼓というモチーフ、祖先から続く因縁、主人公の報われなさなんかはやっぱりドグラマグラの作者だなあと思う 押絵の奇蹟 これも夢野久作らしい作品だった。 どういう風に着地するんだろうと思いながら最後まで一気に読んでしまった。この主人公と相手の男の人は幸せになってもらいたかった…。 童貞 この、人に振り回されっぱなしなのがザ・夢野久作の主人公という感じだなあと数年ぶりに読んで思った。たぶん作者本人もこんな風に振り回されていたのかなぁ。 鉄槌 結末が良い。後味悪いけど良い。誰が悪魔なのかから始まって、この終わり方。うーんさすが。 怪夢、ビルディング、縊死体、月食、微笑、人の顔、卵、夫人探偵、奥様探偵術 このおぞましさ、おもしろさ、あやしさは夢野久作にしか書けない。 霊感! めずらしく外国が舞台で、内容もオチが世にも奇妙な物語みたいで、本当の普通の意味で面白かった、 悪魔祈祷書 これも世にも奇妙な物語的なオチだった。 でもこの店主が言っていることが全部本当な気もしてしまう。なぜなら作者が作者だから。 白菊 文体はいつものだけど、おとぎ話みたいな展開。お姫(ひい)チャマがめっちゃ可愛い。 髪切虫 童話と詩が一緒になったような話。よくこんなことが思いつくなと思う。 けむりを吐かぬ煙突 解題によると一部がカットされているのではないかとのこと。話は江戸川乱歩っぽくて面白い。 涙のアリバイ これも、よくこんなことが思いつくなあと。 黒白ストーリー ハッピーエンドと、後味が悪い話と、振り回され系主人公が珍しく良い結末を迎える話の三篇。
Posted by
青空文庫で既読の「猟奇歌」を、ちゃんと本で、 しかも全文、読みたくなったので購入。 夢Qはいろいろな媒体でつまみ食い的な読み方をしてきたため、 手許にある本の中で収録作品がカブるカブる(泣) 詩や短歌にはほとんど興味がなく、たまに接する機会があっても、 あまりピンと来ない――と言...
青空文庫で既読の「猟奇歌」を、ちゃんと本で、 しかも全文、読みたくなったので購入。 夢Qはいろいろな媒体でつまみ食い的な読み方をしてきたため、 手許にある本の中で収録作品がカブるカブる(泣) 詩や短歌にはほとんど興味がなく、たまに接する機会があっても、 あまりピンと来ない――と言うと語弊があるが、 イメージは鮮明に目に浮かぶけれども 感銘を受けるところまで行かないのが毎度のパターンなのだが、 これはニヤニヤしたり身につまされたりの連続。 4コマ漫画を絵抜きで表現(!)している感じ。 っていうか、短歌って呼んでいいのか(笑)? 再読でウケたのは「悪魔祈祷書」。 語り手が噺家になった経験があると述べているとおり、 まるで落語のような軽妙な語り口が素晴らしい与太話。 初読で面白かったのが「鉄槌」。 虚無的でアンニュイな主人公がヨイ。 それにしても夢Qは、瓜実顔美女の描写が多い田中貢太郎とは逆に、 身体はスレンダーだとしても顔がポチャッと丸い女性が好きだったのかな。
Posted by
暗黒の聖句「猟奇歌」、デビュー作「あやかしの鼓」等21篇収録。 夢野久作全集はちくま文庫から何冊か出てるけど、なかでも第三巻は短編集の色合いが強い。そのためサクサク読めるので、はじめて夢野久作を読む人にもやさしい一冊だと思う。 「悪魔祈祷書」がバツグンに胡散臭くてお気に入り。
Posted by
- 1
- 2