さらば星座(第5部 完結編 上) の商品レビュー

黒岩重吾【著】

2011/06/11

中学生の時に父親にすすめられて読んだ作品。
現在は手に入らないので、古書のみ。

戦後、孤児となった小学五年生の春日正明がドンゴロスを纏って必死に生きた浮浪児時代から成り上がるまでの大長編の完結編です。
たくさんの人間模様が織り込まれ、正明の人として、男としての成長が細部にわたって描かれ、時折純文学のようなまぶしい恋模様もあります。年上の加津子姐さん、同じ境遇の佐伯悦子との初々しいとは言い難い、生々しくも貪欲で幼い恋など、読みどころ多々。
正明を適当に騙したり使ったりしながらも、最後まで気にかけてくれた高松のおっさんや違う道を歩き始めた弟分の三田等、人間臭い登場人物に魅了されます。
ぜひ古本屋を巡って読んで欲しい。