長江落日賦 の商品レビュー
中国のいろいろな時代を扱った短編小説集。最後の「長江落日賦」は侯景の乱がテーマであった。あまり凄惨さを感じさせない自然な流れの物語になっている。これはこれでありか。
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田中芳樹のオリジナル中国歴史小説短編集。 史実の人物の活躍に、怪異譚も絡む五篇。 「黒竜の城」 永楽帝の側近として活躍した武官・亦失哈(イシハ)は女真族。 勅命により、東北辺境(満洲)に出向いた彼の一行を待ち受けていたのは・・・ 「靖康の変」によって北方へ連れ去られた北宋最後の皇帝・欽宗の末裔と名乗る男と、人喰い妖女!? そして彼らを討つ亦失哈自身の正体とは? 「天山の舞姫」 唐代・西域の抜汗那(フェルガナ)へやってきた若き武人・李炎は、美しい胡人の舞姫・ゼノビアと出会う。 シルクロードのオアシス諸都市へ侵攻してきた大食国(サラセン帝国)の司令官はクタイバ・イブン・ムスリム。 サラセン軍の侵入を撃退するため、李炎はゼノビアの協力を得て工作をしかける。 ゼノビアが秘めている能力とは? 主役はフィクションで、クタイバは史実の人物。 「長安妖月記」 中国史上屈指の名君、唐の二代皇帝、太宗・李世民が死期を迎えつつあった頃、謎の方士・杜昇洋が接近。 皇帝の身を案じた宰相・李靖は、唐建国の功臣である老将・尉遅敬徳と、若き猛将・薛仁貴を招く。 死にかけているはずの皇帝が、時折息を吹き返して無謀な政策を推し進めようとするのは何故? 「白日、斜めなり」 『三国志』の末期、司馬一族との抗争に敗れた魏の皇族・夏侯覇は敵国である蜀へ亡命。 同じく魏からの降将であった大将軍・姜維の理解や、姪に当たる皇后の好意により厚遇される。 やがて姜維と共に北伐に乗り出した彼は、魏と蜀との間で苦悩する。 蜀には史官が居なかった事実や、五虎大将の趙雲に匹敵する陳到という武将の存在を初めて知りましたw 「長江落日賦」 南朝・梁を揺るがした「侯景の乱」。 名将・羊侃は都を守って戦死。 三男の子鵬(羊鵾)は復仇のため、侯景を斬るべく、隠された宝剣を入手するが、そこで意外な人物に出会う。 全話中最も分量が多く、五胡十六国・南北朝時代の歴史を学べます(^O^) ニン、トン♪
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三国志や項羽と劉邦の時代などいわゆる王道ではない時代がいくつか取り上げられている。王道を大体読んだ人には新しい時代の発見につながると思う。面白かった。
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中国歴史物の短編集。 中でも三国時代の武将・夏候覇が主人公の「白日、斜めなり」は秀逸。 父と弟の仇の国に身を寄せ、親族を裏切り、かつての部下を殺しその屍を見た時の彼の心情は到底想像もつかない。
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