まやかしの風景画 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1枚の絵画を手掛かりに宝探しをするという、何とも心躍る題材なのですが、 主人公コンビがやや俗っぽく、知的さに欠ける所が残念でした。 妙齢の男女が冒険を繰り広げれば、それなりのロマンスは描かれて当然だと思いますが、それにしても色ボケしすぎていて、もういっそライバルに出し抜かれてしまえ!と思ったりもしました。 またそのライバルにあたる、とんでもない悪者が本当に狡猾過ぎて 嫌悪感が凄まじかったです。 とても、美術品の捏造という幼稚な罪で失脚されたとは思えないくらいの嫌らしい頭脳の持ち主でした。 最後はあんな結末になってしまいましたが、主人公コンビに思い入れがないせいか、ライバルが痛い目に合っても胸をすくような思いもなかったですし、 結局、最後の謎は主人公コンビが解き明かせず、後半に登場した脇の人物アドバイス(というよりも、ほとんど答え)を受けて、財宝を見付け出すという、ダイジェストを見せられたかのような終わり方でなんともモヤモヤしました。 折角、イコノロジーという非常に面白い題材を扱っているのに、ストーリーや人物造形で台無しにしてしまっているように思います。
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イングランドが舞台の宝探し小説。あちこちに登場するパブやホテル、旧蹟、とてもワクワクドキドキしながら読みました。
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いや、こういう小説が読みたかったんだよ。 ……ってのは、言い過ぎかもしれんけど、かなり俺好み。 あらすじは、主人公の女性が、家に代々伝わる奇妙な風景画に、 値打ちはないけど、何かあると思い、画廊に持ち込むところから話は始まる。 どうやら、その絵には、宝物の隠し場所が表されている...
いや、こういう小説が読みたかったんだよ。 ……ってのは、言い過ぎかもしれんけど、かなり俺好み。 あらすじは、主人公の女性が、家に代々伝わる奇妙な風景画に、 値打ちはないけど、何かあると思い、画廊に持ち込むところから話は始まる。 どうやら、その絵には、宝物の隠し場所が表されているらしく、 二人はそれを探っていくが……てな感じ。 まー、ライバルの狂える博士みたいのも出てくるし、よくあるタイプの話なんだけど、 その謎解きというのが、暗号や地図ではなく、 その絵画にちりばめられたアレゴリーなのだ! !マークつけるほどじゃないって? いやいや、『ギャラリーフェイク』の『寓意のある風景』に酔ったあなたなら、失禁もの間違いなし。 二人は無論、中世の知識人のパズルであった寓意の意味などなかなか分からないから、 うちにあるような『動物シンボル辞典』やら『世界シンボル辞典』なんぞで調べていくわけだ。 それがまた楽しい。 そうして、一つずつ絵解きをして、宝物に近づいていく。 この本のいい所は、巻頭にその絵が折りこみページで載っているところ。 この絵を見ながら、「ああ、なるほど」と電車で何度うなづいたことか。 こういう小説って他にないかな? 地図とかついてると嬉しくなっちゃうね。 そんなわけで、ハヤカワ・ミステリプレス文庫でも出てるけど、 なるべくなら絵が大きくて見やすいハードカバーがオススメ。 もうちょい深みがあればな、と思わないでもないけど、楽しい小説には間違いない。
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