徹底検証 昭和天皇「独白録」 の商品レビュー
『文藝春秋』が1990年12月号に発表した「昭和天皇独白録」発表直後の共同討議を活字化したもの。ポイントは(1)この文書じたいが東京裁判を強く意識したものであり、対米英戦争に対する裕仁の責任を否認することを戦略としている。その点で、木戸幸一、岡田啓介以下の「海軍グループ」との「...
『文藝春秋』が1990年12月号に発表した「昭和天皇独白録」発表直後の共同討議を活字化したもの。ポイントは(1)この文書じたいが東京裁判を強く意識したものであり、対米英戦争に対する裕仁の責任を否認することを戦略としている。その点で、木戸幸一、岡田啓介以下の「海軍グループ」との「口裏合わせ」の形跡がある。(2)一方、東京裁判を意識した文書であるため、対中国戦争については、裕仁自身が主戦派として行為した形跡がありありとうかがえる。(3)裕仁は「大元帥」として陸海軍それぞれから相当に詳細な戦況情報の報告をうけており(だから「天皇は何も知らなかった」というのは大ウソ)、軍事指導者として、(先回りして裕仁の意向を「忖度」した事例もふくめ)作戦面でかなり大きな影響力を持っていた。また、人物の好悪が激しく、政府や軍の人事にもたびたび介入を行っていた。
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東京裁判における天皇訴追を慮り、その対策、法廷提出を念頭において作成された「昭和天皇独白録」。ここから可能な解釈、「独白録」の誤謬・脚色、そして解明されるべき事実を検討する書。推測が多くなっているのは、発見初期に本書の対談がなされていることと、独白録に書かれていない、あるいは、「独白録」の作成目的からは書かれるはずのないことを解明しようとしているからだろう。
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