イン・ザ・ペニー・アーケード の商品レビュー
全三部・七つの短編からなる短編集。 三部構成といっても、それぞれの部・短編に内容的なつながりはなく、どれも単独で楽しめる作品となっている。 第二部に収録されている三短編は、いつものミルハウザーと少し異なり、かなりリアリティを追及した内容となっている。 だからつまらな...
全三部・七つの短編からなる短編集。 三部構成といっても、それぞれの部・短編に内容的なつながりはなく、どれも単独で楽しめる作品となっている。 第二部に収録されている三短編は、いつものミルハウザーと少し異なり、かなりリアリティを追及した内容となっている。 だからつまらないか、というと、これがまた非常に心にグイグイと食い込んでくる内容となっていて、三短編とも女性が主人公であるにも関わらず、男性である僕の心もかなり揺さぶられる内容だった。 第三部が最もミルハウザーらしい、ちょっと不思議なテイストが加味された内容となっている。 そうはいっても、けっしてその不思議テイストのみを売り物にしている訳ではなく、やはり読む人の心にグイグイと揺さぶりをかけてくる。 どの短編も素晴らしのだが、僕にとって、第一部(一短篇のみが収録されている)である「アウグスト・エッシェンブルク」がとびきりに面白い内容だった。 一人の天才的からくり人形作りの男性を通じ、芸術と経済、夢と現実、そして人生とは? といった深い内容を見事に描いていると思う。 喜びや感動とは違った種類の感慨深い気持ちに満たされる。
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