坂口安吾全集(12) の商品レビュー
明治時代の初めを舞台…
明治時代の初めを舞台にした捕物帖「安吾捕物帖」を収録している。安吾らしい、ただの捕物帳に終わらない出来となっている。
文庫OFF
明治開化安吾捕物帖の前半戦、10年ぶりくらいに再読。 収録作は基本的に安吾が前口上で述べている内容に忠実で、事件の発生→新十郎の操作→海舟の推理→新十郎による解決という構成。彩りを添えるヒロインとして、少なくともセミレギュラーくらいの扱いはするつもりだったであろうお梨江が数話も...
明治開化安吾捕物帖の前半戦、10年ぶりくらいに再読。 収録作は基本的に安吾が前口上で述べている内容に忠実で、事件の発生→新十郎の操作→海舟の推理→新十郎による解決という構成。彩りを添えるヒロインとして、少なくともセミレギュラーくらいの扱いはするつもりだったであろうお梨江が数話も経つと影も形もなくなってしまういい加減さが素敵。読みどころは真相があかされ海舟センセーが推理の外れた言い訳を述べる段のヴァリエーションの数々で実に愉快。 マイベストは「血を見る真珠」。真珠の密漁に向かう漁船、男ばかりの世界に海女が混ざったことで渦巻く金欲と肉欲が生む緊張感がたまらないです。
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明治の文明開化の時代を舞台にした捕物帖。探偵役の新十郎が美男子なのが眼福。警察が手に負えない難事件が起きると、パリ仕立ての洋服に細身のステッキ持って事件現場に出動なんてステキ。 そして、どの話も犯罪が魅力的で、「捕物帖」というとパターンに陥りそうで陥ってないところが凄い。 巻末の...
明治の文明開化の時代を舞台にした捕物帖。探偵役の新十郎が美男子なのが眼福。警察が手に負えない難事件が起きると、パリ仕立ての洋服に細身のステッキ持って事件現場に出動なんてステキ。 そして、どの話も犯罪が魅力的で、「捕物帖」というとパターンに陥りそうで陥ってないところが凄い。 巻末の解説にも書かれてましたが、都市小説として見ても私の好み。この明治~大正の西洋と東洋が同居してざわついている空気感がたまらなく好きなのです。
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舞踏会殺人事件 お梨江「私はね。壺の中からコブラ出すわよ。イー」 密室大犯罪 海舟「カヘーがさめるぜ」 魔経の怪 ミヤ子「あの人が狼に食い殺されるならずいぶん面白い見モノだろうと思って」 ああ無情 捨吉「さっきの車夫だか、いつの車夫だか知らないが、ごらんのような車夫でさア」...
舞踏会殺人事件 お梨江「私はね。壺の中からコブラ出すわよ。イー」 密室大犯罪 海舟「カヘーがさめるぜ」 魔経の怪 ミヤ子「あの人が狼に食い殺されるならずいぶん面白い見モノだろうと思って」 ああ無情 捨吉「さっきの車夫だか、いつの車夫だか知らないが、ごらんのような車夫でさア」 万引一家 警官「しかし、よくまア憎い二人を一しょにそろえて、あつらえ向きに仕掛けの石の上へ乗せることができたものだな」 血を見る真珠 新十郎「昭和二十三年以後はこんなことはできなくなるそうですがね」 とは言わなかったという話。 石の下 甚八「仏の霊をひきだせる力があるなら、オレの霊もひきずりまわして碁石ぐらい動かしてみやがれ」 時計館の秘密 お久美「私には、昔は、ないよ」 覆面屋敷 光子「なぜ座敷牢が必要なの?」 冷笑鬼 左近「野良犬が道で会って挨拶するのはおかしいが、せめて噛み合わんようにしたまえ」 稲妻は見たり 警官「オレは房州生まれだからアマの作業を見て知っているが、四五貫の石をつけると底まで一気に楽に沈んで調べることができるだろう。手の石を放せば浮くのは楽だ。四間半なら大事あるまい」
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