小説東急王国 の商品レビュー

大下英治(著者)

2014/11/09

やはり昭和の怪物伝はおもしろい。小説と唱って逃げをうちながら、ジャーナリズムによる実録を箇条書きのごとく記すのが著者のスタイルだ。五島父子の築いた東急王国が、ここまでのマンモスグループとは知らなかった。取材客体の顔ぶれも豪華なら、彼らが語る闇世界の面々も凄い。あのフィクサーたちの若き日、そして成り上がっていくサマを知る。小佐野賢治、横井英樹、児玉誉士夫。これから先、彼らに絡んだ政治家や実業家がすべてこの世を去り、ほとぼりが冷めるに従って一層興味深い真実が披露されていくんだろう。