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月のしずく100%ジュース の商品レビュー

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2016/09/04

新潮社のファンタジーノベル・シリーズは好きで色々と読んできましたが、これは知りませんでした。まずタイトルに惹かれ、そして表紙に惹かれ、その後あらすじを読んでみると面白そうと惹かれ読んでみることに。 ミュージカルのシナリオの世界に入り込んでしまうという内容なのですが、シナリオ世界の...

新潮社のファンタジーノベル・シリーズは好きで色々と読んできましたが、これは知りませんでした。まずタイトルに惹かれ、そして表紙に惹かれ、その後あらすじを読んでみると面白そうと惹かれ読んでみることに。 ミュージカルのシナリオの世界に入り込んでしまうという内容なのですが、シナリオ世界の人々が台本通りに演じていながら自我を持ち、演じているということを意識しているのが面白いです。つまりはこの作品を書く作者の意志があり、その作品の中でシナリオを書く者の意志があり、そのシナリオの中にいる者の意志がある。何層にも重ねられている世界の中で、スラップスティックで波瀾万丈な物語が展開されるのです。書かれている途中のシナリオの中で進められる物語のためか、あちこちに放ったらかしにされた伏線の芽のようなものもあるのですが、それがまた世界観のハチャメチャさに繋がっていると思えばいいのだろうかと思わされる力強さはあります。 そのような構造なので、全てが全て何かのメタファーのような風刺のような気もしてくるのですが、そんな風に考えずただその場その場のノリを楽しめばそれでいいのかも知れません。

Posted byブクログ