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ヴェルレーヌの余白に の商品レビュー

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2009/10/04

【本書より】 かつて跣で甲板を走り 帆柱のてっぺん 破れた旗のかげで終日 阿呆鳥の行方を追っていたこともある 黒髭エドワード・ティーチの怒声に怯え 鱶が笑う海峡を泳ぎ切ったこともある それなのに だね アレクサンドル・セルゲーヴィチ ラム酒の飲み方だけが思い出せないのだよ やっぱ...

【本書より】 かつて跣で甲板を走り 帆柱のてっぺん 破れた旗のかげで終日 阿呆鳥の行方を追っていたこともある 黒髭エドワード・ティーチの怒声に怯え 鱶が笑う海峡を泳ぎ切ったこともある それなのに だね アレクサンドル・セルゲーヴィチ ラム酒の飲み方だけが思い出せないのだよ やっぱり水で割るのだったかね 氷を入れて 雪でもいいのじゃないのかい? さんざめくあばら家の戸をうしろでにしめて 冷たいいくひらかをまぶたにうけると 酔いはおのずと醒めてくる かつていずれのわたりであったか 歌の調べを案じて馬上に 行き暮れたこともあったが あの折りのわたくしはだれであったろう この身であり この身でなかった幾人かの名を 蘇らせよ雪わりのラム! (「雪わりのラム」より)

Posted byブクログ