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ノディエ幻想短篇集 の商品レビュー

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2019/11/27

フランス幻想文学の祖と呼ばれる シャルル・ノディエ(1780-1844)の短編集、全6編。 採集した民話を取り込んだような素朴なテイストあり、 夢の入れ子が織り成す、おぞましいタペストリーあり、 心の美しい者に対する優しい眼差しあり……といった趣。 図書館館長に任ぜられ、館内の住...

フランス幻想文学の祖と呼ばれる シャルル・ノディエ(1780-1844)の短編集、全6編。 採集した民話を取り込んだような素朴なテイストあり、 夢の入れ子が織り成す、おぞましいタペストリーあり、 心の美しい者に対する優しい眼差しあり……といった趣。 図書館館長に任ぜられ、館内の住居で亡くなったというのは、 少し羨ましい気がしないでもない。 以下、全編についてザッとネタバレなしで。 ■夜の一時の幻  語り手は深夜の墓地で出会った奇妙な男の身の上話を聞いた。  孤独な心と心の穏やかな触れ合い、そして、幻影の共有。 ■スマラ(夜の霊)  魔女と精霊が跋扈する悪夢の入れ子。  恋人リシディスとイタリアのアローナで幸福に過ごす  ロレンツォが見た甘美にして奇怪な夢の世界。 ■トリルビー~アーガイルの小妖精(スコットランド物語)  慎ましく幸せに暮らす夫婦の家には、  トリルビーという名の小鬼が住み着き、  他愛無いいたずらの傍ら、妻の動静を見守り、  時にはさりげなく彼女をサポートしていた。  ところが、ある日、妻がそれを夫に告げたところ、  夫が司祭に相談したため、大事(おおごと)に……。  あなたが、あなたを愛する僕の存在を確信し、  家にいることを許してほしいだけなのだと、  プラトニックラヴを黙認してくれと訴える  トリルビーだったが、  妻は妖精に気を許すことすら不貞の域に入ると捉えて  煩悶するのだった(うーむ……)。 ■青靴下のジャン=フランソワ  18世紀末のブザンソンに、  偏執狂にして幻視者でもあるジャン=フランソワという  青年がいた。  彼が見た白昼の幻、そして、予言とは……。 ■死人の谷  16世紀、万聖節の晩の事件、  隠者の谷が「死人の谷」と名を替えた出来事。  旅人を快く迎え入れる人のいい鍛冶屋と  その家族の許に現れた、奇妙な二人の客について。 ■ベアトリックス尼伝説  一度は修道院を裏切り、挙げ句、身を持ち崩した  ベアトリックスだったが、  神への愛を失わなかった彼女にもたらされた奇蹟とは……。

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2019/10/22

目的は収録の1編「スマラ」。 50ページほどの短編ですが「レシ(物語詩)」「エポード(第三歌)」といった章に分かれてます。文も内容も、イマジネーションにあふれていて、小説と言うより散文詩と呼んだ方がよい気がします。 だとしたら、装飾の多い華麗な文に酔うのが正解なのでしょう。残念...

目的は収録の1編「スマラ」。 50ページほどの短編ですが「レシ(物語詩)」「エポード(第三歌)」といった章に分かれてます。文も内容も、イマジネーションにあふれていて、小説と言うより散文詩と呼んだ方がよい気がします。 だとしたら、装飾の多い華麗な文に酔うのが正解なのでしょう。残念ながらこちらの感受性不足で、ほろよいにはなりましたが酔いきれなかったのは少し寂しい気もしました。 若い頃に出会うべき本であったかというと、それはそれで甘い毒に当てられてたかもしれません。

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2018/10/15

夜の一時の幻 スマラ(夜の霊) トリルビー 青靴下のジャン=フランソワ 死人の谷 ベアトリックス尼伝説 著者:シャルル・ノディエ(Nodier, Charles, 1780-1844、フランス、小説家) 編訳:篠田知和基(1943-、中野区、フランス文学)

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2013/03/04

ここに描かれているのは、狂気ではなく狂乱だ。全てが激しく蠢き、動揺している。その摩擦熱に、それぞれの物語の登場人物がうめき声をあげているような感覚だ。確かに、一見すれば、そういう状態は狂気に見えなくはない。だけど、その芯には、確かな意思の力強さを感じる。だからこそ、こうして、一つ...

ここに描かれているのは、狂気ではなく狂乱だ。全てが激しく蠢き、動揺している。その摩擦熱に、それぞれの物語の登場人物がうめき声をあげているような感覚だ。確かに、一見すれば、そういう状態は狂気に見えなくはない。だけど、その芯には、確かな意思の力強さを感じる。だからこそ、こうして、一つの作品として、大きな流れになっているのではないか。

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2009/10/04

日本ではあまり知られていない作家ではありますが、幻想文学の分野では有名な作家です。『スマラ(夜の霊)』の悪夢と狂気に満ちた世界や、何処かほろ苦い妖精との恋物語など、童話的なものも書いています。 まさに幻想異譚。

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