花衣ぬぐやまつわる… の商品レビュー
俳人・杉田久女を等身…
俳人・杉田久女を等身大に描いた評伝です。
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久女さんのことは、恥ずかしながらほとんど知らなかったのですが、田辺聖子さんが吉屋信子さんを描いた作品を読んでから、こちらも読んでみました。 不仲でありながら添い遂げざるを得なかった旦那さんとの関係について田辺さんが書いていることがすごい。 ・・・妻の人生が自我の充溢とともに厚...
久女さんのことは、恥ずかしながらほとんど知らなかったのですが、田辺聖子さんが吉屋信子さんを描いた作品を読んでから、こちらも読んでみました。 不仲でありながら添い遂げざるを得なかった旦那さんとの関係について田辺さんが書いていることがすごい。 ・・・妻の人生が自我の充溢とともに厚みを増してくるのに嫉妬していたのではなかろうか。妻の成功を共に喜ぶという、太っ腹なところはなく、それに人を責めるのが好きなタイプだったようだ。 このタイプの人間は、男も女も、もっとも同居に適さないタイプだと、五十年生きてきた私はこの頃発見して、趣ふかく思っている。 当時、女性にとっての離婚が今とは全く違っていたことを併せて思うと、文学に生きた先輩の女性への田辺さんの視線の深さ、暖かさを感じます。
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女流俳人、杉田久女の評伝を渾身の筆で田辺聖子がまとめたもの。 読みどころは女流で文芸に携わる者としての作者の久女への深い共感と理解しようと努める愛情。結果、久女の夫は当時の男性像として平均以上であろうとも評価が厳しい。実質、久女を葬った虚子についても。虚子側にすれば260通?の手...
女流俳人、杉田久女の評伝を渾身の筆で田辺聖子がまとめたもの。 読みどころは女流で文芸に携わる者としての作者の久女への深い共感と理解しようと努める愛情。結果、久女の夫は当時の男性像として平均以上であろうとも評価が厳しい。実質、久女を葬った虚子についても。虚子側にすれば260通?の手紙が送られている時点で今の言葉で言うストーカーなのだから久女を変質者扱いはやむ無しと思うが。 私としては最近俳句をやり始めて、登場する何人かの有名な俳人の人間像とその人の作品、田辺さんによる鑑賞が味わえて勉強になった。どういう気質、考え方の人が、どういう場面で詠んてその俳句になっているのかというのが伺えたので俳句の理解が少し立体的になった。 印象的なエピソードとして、久女が1200メートルを超える山に単独、当時としては大した装備もなく山に登り句の材料にしようとする情熱に感動、共感した。
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『杉田久女』なんて名前聞いたことなかったから???って感じだったんだけど 山田詠美が読んだことあるし、解説を書いてるから どれ、私も読んでみるか。 ってな感じで読んでみました~。 うーーーん。 めちゃくちゃ俳句の世界です。 短歌は学生の頃、さんざん書かされて少しは馴染みあるけど 俳句ってね~、まるで別世界よ。 杉田久女を始め、中学の頃習った高浜虚子とか水原秋桜子とか山口誓子、中村汀女とか出てきて、オー!って感じだったのよ。 あの時は、嫌々勉強させられてたけど、こうやってみると分かりやすいもんだな~。って思ったわ。 少しは俳句のこと学んだかな?って感じです。 この本は、伝記小説ではなくて解説集のようになってるのよね。 だから、途中、頭が痛くなりそうだったけど でも田辺さんの分かりやすい解説でそんなに苦にもならず読めたわ。 田辺さんは、今まで世間の人に誤解されてた本当の杉田久女を求めてこれを書いたんだけど、 すべては、恩師・高浜虚子のでっちあげよね~。 それで真の久女像が崩れてしまった。。。 しかも久女が死んでから、ああいうことはないんじゃな~い? って感じ。 仮に、久女がストーカーまがいの気違いだったとしても 『ホトトギス』から同人除名しなくてもよかったし 何通も久女から送られてきた手紙に一通も返信しないなんて、 で、死後、あんな嘘でっちあげのこと言うなんて、恩師として恥と思わないのかしら? 久女はただ慕っていただけなのよね。 それがちょっと度が過ぎちゃっただけのことだと思う。 それに、久女の旦那。 読んでいくと、なんつー物分りのない人種差別な冷淡な人だろうと思ったけど 彼女が狂いだしてから、人が変わったようになって まるで虚子と入れ違いのように、久女の面倒をみてあげて でも口下手だから本当に自分が思ってることは誰にも言えない。 この人はきっと久女を言葉で苦しめたことを後悔してるんじゃないか。って思ったのよね。 久女が今の時代、生きていれば、きっと家庭も仕事も両立できただろうし もっと幸せな人生が送れただろうに。。。 って思う。 ちょっと勉強になった本でした。
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この夏、小倉を旅したのは、 森鴎外生誕150年、松本清張没後20年… さらに、ボク自身が50歳を迎えた節目の年だったからだ。 松本清張の初期作品に「菊枕」がある。 それは、女流俳人杉田久女をモデルにした短編。 俳句の才がありながら、自由奔放、 家庭も顧みず、俳句の師を執拗に追う...
この夏、小倉を旅したのは、 森鴎外生誕150年、松本清張没後20年… さらに、ボク自身が50歳を迎えた節目の年だったからだ。 松本清張の初期作品に「菊枕」がある。 それは、女流俳人杉田久女をモデルにした短編。 俳句の才がありながら、自由奔放、 家庭も顧みず、俳句の師を執拗に追う…やがて、 その師にも忌み嫌われ…精神病棟で亡くなった。 そんな嫌なイメージだけが強く心に残った…ただ、一抹の不可解さも ずっと引きづっていた。あまりに唐突なことが多すぎるのだ! 本書は、俳人杉田久女の評伝。その人生を 著者は5年の歳月をかけてつまびらかにしてゆく… それは、いたずらに重ねられた好奇な眼差しのフィルターを ひとつひとつ丁寧にはがしてゆくようだ。 久女の亡くなった病棟を訪ねたときのことを、こう記している。 ー精神の障害者といい健常者という、どこにその違いがあるのか、 どこでそのラインを引くのか、むしろ興を惹くものに率直な関心を 示す少女の純真さのほうが、人間としてすこやかなのかもしれない。 久女の純真さがしばしば周囲の誤解を招いたことは 前にも書いたけれども、それが人々に嘉されず、珍重されず、 ここまでゆきついてきてしまったことを思うと、 私は今更のように心が重くなる。 おそらく、本書がなければ、多くの誤解を孕んだまま、 さらには増幅されながら久女像は残っていったのかもしれない。 本書に費やした著者の労は、はかりしれない。そして、 今後、久女評伝は本書なくしては語れないものだろう。 あぁ、それにしても、これを読んで一番感じたのは、 巨人高浜虚子の男子の本懐のなんとも見苦しいまでに 狭小であることだ。さも、真実のように書かれる言説の多くが 嘘にまみれたものであることは、古今変わらない…それこそが虚しい。
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杉田久女の評伝。浅学にして杉田久女を知らなかったのだが、大正から昭和の女性俳人の生い立ちとして面白い。
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田辺聖子、87年の作。 連載を多く抱える流行作家である田辺聖子が、 よくもこんな労作をものしたと思います。 昭和初期の女性俳人、杉田久女の評伝。 私が久女を知ったのはこの本からなので、よく知りませんでしたが、 特にこの本以前の久女の評判は気の毒なほど。 偏屈、わがまま、名声を求...
田辺聖子、87年の作。 連載を多く抱える流行作家である田辺聖子が、 よくもこんな労作をものしたと思います。 昭和初期の女性俳人、杉田久女の評伝。 私が久女を知ったのはこの本からなので、よく知りませんでしたが、 特にこの本以前の久女の評判は気の毒なほど。 偏屈、わがまま、名声を求めたがる、奔放、変わり者、人を破滅させる・・・。 実際に精神病院で没してはいますが、 世にその印象を強烈にしているのは俳句の師でもある虚子であったことが、 明らかにされていくのは推理小説を読むようでした。 吉屋信子の評伝「ゆめはるか吉屋信子」と同様に、 田辺聖子の筆は、不遇の久女に対して、常に暖かく、 かと言って同情に溺れるわけでもなく、しっかりと調査をしたあとがうかがえます。 夫(中学教師)の理解のなさ、経済的困窮、女性蔑視、戦争と 環境にも恵まれませんでしたが、 やはり彼女の不幸は彼女自身が増幅させているところもあります。 あまりに正直なために他人とぶつかってしまう。 それでも「私に悪いところはないのに、なぜ!?」としか思えない。 何を見ても憤りを感じてしまう。人が気にしないささいなことが許せない。 こういう優等生タイプのやや極端な人、いるかもしれません。 確かにちょっとうざい。 本人は「自分は正しい」と思っているけれど、 周りは引いている。 でも久女の場合は、ふつうのうざいおばさんではありません。 俳句には天才的なセンスがありました。 それでも、敬愛する師である俳壇の大物である虚子にも嫌われる。 俳壇というところが特別なのかどうか、分かりませんが、 当時、虚子にうとまれるということは、俳人として抹殺されるに近かったそうです。 ただ、田辺さんも書いておられますが、 あの戦争を経ても句稿がしっかりと残ったことは、不幸なめぐり合わせが多かった久女の 最大の幸福なのかもしれません。 彼女の住んでいた小倉は、原爆の第一目標であったのに、 たまたま天候が悪かったために長崎に落とされました。 いや、もしかしたら最大の幸福は、久女の知名度を一段と広げ、汚名をそそいだ、 この本が田辺さんによって書かれたことかもしれません。
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小倉に縁のある俳人・杉田久女の生涯。先に松本清張の「菊枕」を読んだら、あまりにも辛らつに愚か者に描かれていて、読んでいて辛かった。同性の田辺さんなら、どう描いているのか、とても興味がありました。
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