ロック・ワグラム の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
関汀子さんにつづくいい訳者だった。けれども両者の訳がおなじ道筋でおこなわれていたわけではない。おそらく関さんの訳がサローヤン文学をできるだけ忠実に再現したものであり、内藤さんはどちらかというと訳しやすいようにフィルターをひとつ原文の上に被せているという印象がある。そしてこの物語の形式もあるのかもしれないが映画的な場面作りがされていた。 戦争も結婚も取り扱われているけれど、そのなかに一人のロック・ワグラムがいるというよりはロック・ワグラムの戦争、ロック・ワグラムの結婚だと感じられてよかった。それでいて登場人物の内面からは少し離れたところに書き手がいるのがいい。サローヤンらしさはこんなところに存在しているのではないかとおもう。
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