篝火 の商品レビュー
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目次より ・篝火 ・雲悠々(篝火 第二部) 関ケ原を舞台にした小説を読むといつも思うけど、大谷吉継、いい男だよねえ。 彼を悪く言う人はいないでしょう。(当時はいたと思うが) 篝火は関ケ原に東西の武将が集まってきつつあるところから東軍勝利の夜まで。 雲悠々は、落ち武者となった西軍の武将の話。 時間に追われる現代と違って、両軍が一度に勢ぞろいするわけではありません。 何日もかけて、各軍それぞれの事情に応じて集まります。 早めに来て準備怠りない者、国元の反対を押し切ってはせ参じる者、遂に間に合わなかった者。 それでも東軍は、家康の号令ひとつで誰がどこを守りどこを攻めるのか、どのように隊列を組み動くのかが決められるので、軍議と言ってもスムーズに全てが決まって行きます。 ところが西軍は三成に人望がない、三成は戦のなんたるかを知らない、西軍内の上下関係があいまい、などの理由で、何ひとつスムーズにはいきません。 勝敗が決し、首実検をする夜。 篝火がたかれ、次々に首の主が記録される。 その中にひとつ、とても小さい子どもの首が…。 尾崎士郎は大垣市の郷土博物館で、この小さな首がかぶっていたであろう甲を見て、この小説を書こうと思ったのだそうです。 雲悠々は、落ち武者狩りから逃げる西軍武将たちのそれぞれを。 両方を通じて石田三成の志が描かれる。 三成にとって勝敗なんてどうでもいい。自分の命もどうでもいい。 ただひたすら豊臣家のために生き死んでいく。 豊臣家を蔑ろにするものは、絶対に許さない。その一念。 それがわかったから、大谷吉継は勝ち目のない戦と知りながら西軍についた。 なぜなら三成は彼の恩人だったから。 あまりよく言われることのない三成が、尾崎士郎の筆にかかると苛烈なまでに信義に生きる男として、壮絶な姿をさらしだす。 この小説、とても文章が読みやすいのです。 明治生まれの文豪が書いたとは思えないくらい。(実際に書かれたのは昭和14~16年だそうですが) 歴史小説好きなら、一読の価値があると思います。
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表題よりも(時間軸的に)続編にあたる「雲悠々」の方が登場人物のチョイスからしても面白味があった。 発表当時には数少なかったかもしれない三成像を描いている、はず。 なのだけれど、それ故にどうにもきれいに収まってしまった感がなくもない。 むしろ情景や戦場での描写に胸を衝かれる。
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