ポルノグラフィア の商品レビュー
「別のわが冒険を物語ろう、これはなかでもたぶん最もみじめなものの一つである」 1943年のワルシャワ。 物語はカフェからの一角からはじまる。 私は、中年の男から声をかけられる。 ワシ鼻が特徴的で、内面には沈黙しつつ、絶叫する、倦くなき淫らさを持った男、フレデリック。 私は...
「別のわが冒険を物語ろう、これはなかでもたぶん最もみじめなものの一つである」 1943年のワルシャワ。 物語はカフェからの一角からはじまる。 私は、中年の男から声をかけられる。 ワシ鼻が特徴的で、内面には沈黙しつつ、絶叫する、倦くなき淫らさを持った男、フレデリック。 私は、ワルシャワを離れ遠くへ旅に出る。 このワシ鼻の男、フレデリックと一緒に。 それは、知人のヒポリトからの手紙がすべての始まりだった。 「こちらはいちおう平静、大したことはない、ただ、物騒な連中が横行、ときどき襲ったりする。つまり治安が緩い。二人で来たほうが楽しかろう」 数時間の列車での旅の後、私たちは田舎駅に降り立った。 小さな村。 そこで私は行きをのんだ! それは・・・ (少年) (少年) (少年) これは困った! そこらにある十六歳の首筋、短く刈った髪、ふたすじみすじ皺のはいった、ごくふつうの(少年)の肌—— この身震いはどこからくるのか? 村で出会った少年と少女の戯れに釘付けになった私。 男女の一挙手一動足に目が離せなくなり、次から次へと妄想が続く・・・。 描かれているのは、中年男が若さに対して感じる眩しさなどという甘い世界ではない。 中年男が病的執着をみせる、妄想エロティシズムの世界だ。 静かな空間で、息をひそめるようにして読書するのにオススメの一冊です。
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作者が工藤幸雄となっていますが、ヴィトルド・ゴンブローヴィチ著、工藤幸雄訳、です。バイブルその2.『コスモス』が言葉との戯れであるのに対して、イメージとの戯れ要素が強いのがこちら。
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