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優駿(下) の商品レビュー

4.4

58件のお客様レビュー

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一頭の馬・オラシオン…

一頭の馬・オラシオンめぐり、人々の人生が交錯します。競馬に興味が無くてもはまりました。

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みんなの声援と期待の…

みんなの声援と期待の中、走るという使命のために生まれてきた名馬のサラブレッドロマンを描いている。

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一頭のサラブレットが…

一頭のサラブレットが中央競馬会へ順調に上りつめていくと同時に、それを取り巻く人々の人間模様。過去に引きづら断ち切れない人、新たな目標を定め再出発する人

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2024/08/05

競馬の小説だと紹介され、初めて読んだのが中学生の頃だったと記憶している。馬の物語というより、大半が人の物語であり、面白いとかんじなかった。 20年ぶりに読んだ今回は、この本の面白さを感じた。馬の物語ではありながら、人の物語であったからである。 多くの人の願い、祈り、欲望その他...

競馬の小説だと紹介され、初めて読んだのが中学生の頃だったと記憶している。馬の物語というより、大半が人の物語であり、面白いとかんじなかった。 20年ぶりに読んだ今回は、この本の面白さを感じた。馬の物語ではありながら、人の物語であったからである。 多くの人の願い、祈り、欲望その他色々な人生を乗せて馬は走り、その走りに人は魅了され、また、人生が変わったり、何かを乗り越えるきっかけとなる。 そんな、競馬の本質というようなものが本書には描かれており、非常に楽しく読むことができました。

Posted byブクログ

2024/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

感想 読み進めていくうちにどんどん続きが気になる展開だった。オラシオンという馬にかけた様々な人々の夢を見た。最後の最後まで分からない展開にシビれた。 ノーザンダンサー、プリンスリーギフト、ボールドルーラー、ダビスタ思い出す。種付けの方法が原始的なのにびっくりした。また、種付けが不発に終わるとお金がパァになるギャンブル性を含んでいることから、生産者の方もヒヤヒヤと、期待が入り混じった思いがある。人工的だが、自然も相手にする難しい競技だ。 あらすじ オラシオン号は3歳になり、吉永ファームで育ったことにより、立派な馬体になっていた。吉永会長は博正に、馬に良い環境を整えることで馬が強くなると教える。オラシオンを買い付ける時に、増矢が一芝居打って、懐を温めたことが和具にバレ、和具は厩舎を増矢から砂田に変える。 博正はトカイファームを大きくするべく、藤川老人が目をかけている牝馬を譲ってもらい、吉永ファーム門外不出の牡馬を500万円で掛け合わせてもらえる約束を取り付ける。 博正は一世一代の勝負をしたイェローマトロンおを受胎させたが、ハナカゲを病気で失う。和具も息子の誠を腎不全で亡くす。オラシオンがデビューした頃に和具工業は大手からの圧迫を受けて業績不振に陥る。 和具工業は結局、三栄電機に吸収合併され、和具は社長を退任する。その原因となったのが佃社長がオラシオンをどうしても欲しいという理由だった。オラシオンは順調に4連勝して皐月賞へと駒を進める。和具の秘書だった多田は自分が和具社長を裏切って、合併に加担したとして引け目を感じていた。 一方、オラシオンの騎手の奈良は、オラシオンをどう乗りこなせば良いのか悩んでいた。オラシオンのゴール前の異様な負けん気にも畏怖していた。 オラシオンは皐月賞、NHK杯を制していよいよダービーへ。和具はオラシオンがダービーを勝てば、トカイファームと一緒に牧場をやろうと決めていた。果たしてオラシオンはダービーを制することが出来るのか。

Posted byブクログ

2024/01/10

職場の先輩と競馬の話をしていた際に、おすすめされた一冊。レースの待ち時間にも競馬場でも読んでた。 上下巻を通して1頭の馬に携わっていく複数の人たちのお話。 読了後、競馬の残酷さとそれを上回る魅力を痛感し、 競馬が趣味、と言っときながら自分は本当に無知で上辺でしか競馬のことを考...

職場の先輩と競馬の話をしていた際に、おすすめされた一冊。レースの待ち時間にも競馬場でも読んでた。 上下巻を通して1頭の馬に携わっていく複数の人たちのお話。 読了後、競馬の残酷さとそれを上回る魅力を痛感し、 競馬が趣味、と言っときながら自分は本当に無知で上辺でしか競馬のことを考えてられていないことを恥ずかしく思った。 競馬、競馬と書いているが、 取り巻く人間模様も面白く、目を背けたいが共感してしまう部分やなるほど、と思った部分が多くあったため、 競馬をやってない人にも薦めたい。

Posted byブクログ

2023/09/08

最後の最後まで、どうなるかわからない小説だった。 様々な人の細かい心の揺れ動きが積み重なり、最後のオラシオンのダービーで集大成を迎えるという構成で、自分も物語の一員になったかのような読後感だった。 佐木がミステリアスなままだったが、彼には幸せになって欲しいと思う。

Posted byブクログ

2023/08/17

 人が生きていくには、重要な決断がいる時がある。和具平八郎は、最初の会社のピンチで、資金が足りない時に、手元にある金を競馬に注ぎ込んで、勝つことで会社のピンチを切り抜けた。運を天に任せる野蛮な勇気がある。その競馬で負ければ、会社も倒産していた。そして、会社の規模は大きくなり、今度...

 人が生きていくには、重要な決断がいる時がある。和具平八郎は、最初の会社のピンチで、資金が足りない時に、手元にある金を競馬に注ぎ込んで、勝つことで会社のピンチを切り抜けた。運を天に任せる野蛮な勇気がある。その競馬で負ければ、会社も倒産していた。そして、会社の規模は大きくなり、今度は大きな会社に吸収合併される事態を迎える。思い切ってリストラするのか?倒産するのか?吸収合併されるのか?悩み続ける。日本の中小企業の経営者は、そんな悩みを常に持っているものだ。なるべく職員を残して、自らが退任する道を選ぶ。  和具平八郎は、オラシオンの馬主である。そのオラシオンを手に入れたいがために、平八郎の会社を乗っ取ろうとする奴がいた。しかし、あくまでもオラシオンは個人所有だった。手持ちの馬を売っても、オラシオンは売らなかった。なぜなら、オラシオンは娘久美子に譲り、また久美子は腹違いの弟誠に譲ったのだ。誠は、腎臓移植しなければ生きていけないという状況にあった。その希望がオラシオンだった。それぞれの祈りを抱えて、オラシオンはダービーを目指して走り続ける。  オラシオンの騎手の奈良は、苦しい記憶を抱えて、オラシオンに乗る。奈良は、ミラクルバードという馬に乗っていた。ミラクルバードは馬に蹴られて顔が歪んだ馬だったが、滅法強い馬だった。奈良はミラクルバードから、レースの運び方を教えてもらった。クラシックレースの皐月賞に、奈良は寺尾にかえさせられた。そして寺尾に「前にいてる馬の後ろに、ピタッとつけさすんや。行くに行かれへんから落ち着きよる。そうさしといてから外に出すんや」とアドバイスした。それを実行した寺尾は、レースで接触事故を起こして、馬も寺尾も死んでしまう。ミラクルバードは、顔を蹴られた経験から後ろにつくことでパニックに陥るのだ。奈良は、寺尾を殺したのは俺だと思った。そこから、奈良は立ち直って、死を恐れぬ騎手に一回り大きくなったのだ。オラシオンの心が読める奈良のリードは、走ることで死にいたることもあるという覚悟が必要だった。オラシオンの妙なくせ、それを常に心配した。  騎手の持つ独特の雰囲気や仕草、そして騎手仲間のさまざまな噂がなんとも言えない世界でもある。結局は、名誉、お金が絡むことによって、足を引っ張る醜い社会でもあるのだ。  そして、オラシオンは連勝して、ダービーに臨むのだった。 オラシオンを生み出したトカイファームの博正は、もっと牧場を広げ名馬を作りたいと思っている。そして、淡い恋心を馬主の久美子に抱く。久美子は、博雅をジャガイモと呼んでいた。その素朴な性質と優しい目に久美子も惹かれていく。ジャガ男とジャジャ馬の久美子の行方は。そして、和具平八郎はどう再起するのか?誠はどうなるのか?  牧草には、ケンタッキーブルーグラスがいいのか。いい馬を作るにはいい草がいる。いい草を作るにはいい土地がいるという指摘が重要だ。チモシー、オーチャード、レッドクローバー、ホワイトクローバーなど、みんな必要だ。

Posted byブクログ

2023/05/14

サラブレッドに関わる人々の思いを感じる事ができる作品。生産者の、願い(祈り)や血統への期待、未来への想いが伝わり、読後はより深く「競馬」というブラッドスポーツを楽しめるようになること必須。上下巻に渡る長編だが、中弛みする事なく最後にピークを持ってくる内容は圧巻。ダービー前のこの季...

サラブレッドに関わる人々の思いを感じる事ができる作品。生産者の、願い(祈り)や血統への期待、未来への想いが伝わり、読後はより深く「競馬」というブラッドスポーツを楽しめるようになること必須。上下巻に渡る長編だが、中弛みする事なく最後にピークを持ってくる内容は圧巻。ダービー前のこの季節にぜひ!

Posted byブクログ

2022/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

額に白い星印を捺された漆黒の仔馬、オラシオン、祈り。 オラシオンの誕生、育成から宿命のダービー戦までの三年間。 二分何十秒かで決まる勝負の世界。 和具平八郎の私生児として15年間生きた誠は「お父さんの腎臓をください。お願いですから」と言いながら亡くなっていきました。 平八郎は「俺は生涯、俺を許さん」と言うほかありませんでした。 平八郎の秘書の多田は久美子と一線を越えようとして、手前で逃げられ、そして平八郎をも裏切ります。 そして騎手仲間の寺尾を殺したと思い込んでいる騎手の奈良がオラシオンに乗ります。 トカイファームの渡海千造は亡くなりますが、息子の博正と平八郎、久美子には共通の夢が生まれます。 オラシオンがスタンドに姿を見せたときのスタンドからの喚声と拍手。 オラシオン。何十年に一度の馬。 博正と久美子の夢は叶うのか。 最後のダービーの文章は、大変勢いがあり競技場の雰囲気が伝わってきて上手いです。 圧倒されました。 さすが!と思いました。 吉川英治文学賞受賞作。

Posted byブクログ