孤独の人 の商品レビュー
平成天皇(現上皇)が皇太子時代、学習院時代の「御学友」が著したもの。事実に基づくフィクションだと思うが、当時の学校の様子が赤裸々に描かれていて興味深い。戦後中数年が経過し、安定と、一方で揺り戻しのような混乱が混在する時代。皇太子は将来の国家元首という認識、実際も国の象徴になるわけ...
平成天皇(現上皇)が皇太子時代、学習院時代の「御学友」が著したもの。事実に基づくフィクションだと思うが、当時の学校の様子が赤裸々に描かれていて興味深い。戦後中数年が経過し、安定と、一方で揺り戻しのような混乱が混在する時代。皇太子は将来の国家元首という認識、実際も国の象徴になるわけで、彼を中心とした様々な思惑があるのを承知で、流れに任せ、役割を果たそうとする。18歳男子なら色々なことがあるだろうに、皇太子の自由意志はほぼない。また、作者自身もご学友として取り扱われることに腹を立てている。状況をご学友として眺めながら、皇太子のこと、自分のこと、皇太子を持て囃す国民のことなど、作者の悶々とした気持ちがよく伝わる、興味深い一冊。
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