アルゴールの城にて の商品レビュー
シュールレアリスムの…
シュールレアリスムの傑作。幻想的で不可思議な世界が耽美で流麗な筆致で綴られています。
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よく考えずに、感じることを最優先に読んだ。 いつもそうなのだが。 しかしこの本は、時間を置いて何度も読みたいと思う。 鮮烈なイマージュを展開させる、緻密な比喩。 それでいて曖昧で難解な部分もある。 この本を理解したいとは思わない。 飲み込んで、浸透させたいと思う。 私の目指すと...
よく考えずに、感じることを最優先に読んだ。 いつもそうなのだが。 しかしこの本は、時間を置いて何度も読みたいと思う。 鮮烈なイマージュを展開させる、緻密な比喩。 それでいて曖昧で難解な部分もある。 この本を理解したいとは思わない。 飲み込んで、浸透させたいと思う。 私の目指すところに非常に近い一冊。
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これが処女作なんて、すごい。 比喩が一文の中にもたくさん繋がっていくので、このリズムに慣れるまでは読むのに時間がかかりました。 うまく映像化してほしい。
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ゴシック小説かもしれないが、 独特の文体からシュルレアリスムのカテゴリに入れられるらしい。 登場人物は三人、男二人=アルベール,エルミニアンと、 エルミニアンの同伴者である女=ハイデ。 平たく言えば三角関係の物語だが、 「 」(鍵括弧)で括られたセリフが一度も出てこないので、 読...
ゴシック小説かもしれないが、 独特の文体からシュルレアリスムのカテゴリに入れられるらしい。 登場人物は三人、男二人=アルベール,エルミニアンと、 エルミニアンの同伴者である女=ハイデ。 平たく言えば三角関係の物語だが、 「 」(鍵括弧)で括られたセリフが一度も出てこないので、 読んでいて、それこそ作品の舞台である 城を内包する深い森に迷い込んだ気分を味わわされ、 ウロウロ、キョロキョロしているうち、破局に至る。 が、例えば、前後の脈絡があるようでないような、 細部の辻褄が合っているようでいないような、 目覚めて思い出す夢の内容を 綴って読み返すことができたなら、 こんな気分になるのかもしれない。 但し、出演者は美男美女に限る(笑)
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過剰に華美で装飾的な文体を用いているが、どれひとつとして無駄ではなく、一文一文が異常な説得力を持っている。特異な文体だけど、それはグラックがリアル以上にリアルなものを描こうとした必然的な結果であるということが読めばわかる。アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム文学はジュリアン/グ...
過剰に華美で装飾的な文体を用いているが、どれひとつとして無駄ではなく、一文一文が異常な説得力を持っている。特異な文体だけど、それはグラックがリアル以上にリアルなものを描こうとした必然的な結果であるということが読めばわかる。アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム文学はジュリアン/グラックに帰結される」と称したのも頷ける作品でした。
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グラックは、高校の教師を長く勤め、夏休みの間だけ執筆をしたという寡作な作家であるが、本書、『アルゴールの城にて』は、グラック28歳の1938年に上梓された作品である。 1951年に『シルトの岸辺』が、ゴンクール賞を授賞したが、授賞を拒否し話題となる。 小説、詩、エッセイ、戯曲...
グラックは、高校の教師を長く勤め、夏休みの間だけ執筆をしたという寡作な作家であるが、本書、『アルゴールの城にて』は、グラック28歳の1938年に上梓された作品である。 1951年に『シルトの岸辺』が、ゴンクール賞を授賞したが、授賞を拒否し話題となる。 小説、詩、エッセイ、戯曲、評論などを遺したグラックが若い時に書き上げた『アルゴールの城にて』は、ウォルポールから継承されているゴシック・ロマンとポーの城館に夢幻性を加え、同類の美意識を共有するものである。 この物語の主な登場人物は男2人と女1人の3人で、舞台となる城館は、1人の男がもう1人の男の薦めで買い取ったもので、いち早く到着した語り手の男から少し遅れて買取を薦めた男と女が登場する。 3人で繰り広げられる城館または、その周辺の海あるいは、礼拝堂、森、遊歩道などでの出来事は、各自いずれも当事者であり、それらは装飾され比喩を多用した文章で綴られていく。 この小説に、会話文は全くない。会話によって小説は進んでいかない。 時間が過ぎるにしたがって静かに変化はおこっていくものの想像力の枯渇状態ではグラックの正しい導きは得られないことだろう。 グラックははしがきのなかで本書がワーグナーの『パルシファル』の悪魔的書き替え、それだからこそ、正当な書き替えにほかならないと受け止められるようなら、それだけですでに、いまだに物を見ようとしない目にも何らかの光がさしてくるものと期待してよかろうと書いている。 結末の避けがたい悲劇で、読み手の私は、ようやくこの城館から逃げ出すことができるのだ。 それは、ロデリック・アッシャーの館をあとにする心情とよく似ている。 澁澤は、『大いなる自由』の書評の中で、 ---その特異的文体で、現代フランスの詩壇に孤高の地位を占めるジュリアン・グラックは、徹底的に反時代的な詩人である。シュルレアリスムのなかに復活した中世的な伝統、ドイツ・ロマン派への親近や、暗黒小説への嗜好を、その血のなかに彼ほど濃厚に受け継いでいる人はいない。かつて青柳瑞穂氏が訳した小説『アルゴオルの城』の序文には、グラック一流の難解無比な暗黒小説論が展開されていて、興味深い--- と書いている。 この小説を翻訳で読むのは無理があるのかもしれない。 しかし、読者はグラックの文体の秩序を受容するべきである。
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アンドレ・ブルトンをして「シュルレアリスムの帰結するところ」と言わしめた、ジュリアン・グラックの処女小説。 森ふかくにある古城、アルゴールにやってきた貴族の末裔アルベール、彼の親友で不思議な魅力をもつエルミニアン、そしてエルミニアンが連れてきた美しく聡明な女性ハイデ。三人の長いヴ...
アンドレ・ブルトンをして「シュルレアリスムの帰結するところ」と言わしめた、ジュリアン・グラックの処女小説。 森ふかくにある古城、アルゴールにやってきた貴族の末裔アルベール、彼の親友で不思議な魅力をもつエルミニアン、そしてエルミニアンが連れてきた美しく聡明な女性ハイデ。三人の長いヴァカンスがはじまる。 会話のない、迷路のような文体。執拗に積層される比喩が生む、白濁した空気。高熱に浮かされたうわごとのような言葉の荷重で、物語はゆっくりと旋回し、悲劇へと傾いていく。 小説というよりも長大な散文詩。しかしてその実は強姦小説でもある。このようなたぐいの本を、この値段で売り出す白水社の男気に最敬礼したい。
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