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ソフトウェア工学入門 の商品レビュー

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2012/05/01
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著者略歴によると、石井氏は、1954年に富士通に入社し、FACOM 138、FACOM222の主任設計者を務めたとのことです。 どんなマシンかというと、FACOM 138がリレー式で1960年に開発されたもの。 FACOM 222がトランジスタ製で1961年に開発されたものだそうです。 FACOMはその後、1968年に第一銀行(現在のみずほ銀行)にオンライン預金システムに採用され、今へと至るわけですがその礎を築いた人の一人なんじゃないかなと想像します。 ★★★ 本書は、ソフトウェア工学の基礎を要求分析から、検査まで概説したものです。各章には適切な問題がついていて理解を助けます。 出版は少々古いですが、考えの整理にはとても良い本だと思います。たとえば、 4.1 設計のレベル  与えられた仕様の繁簡難易のレベルに応じて、設計にも色々のレベルがある。5つのレベルに分けてみれば、次のようになる。  (1) 簡単な仕様  (2) 確立した技術を用いる問題  (3) 面倒な問題  (4) 難解な問題  (5) 複雑な問題 それぞれ違いがわかりますか?? 簡単な問題とは、文字数を数えるプログラムのような仕様を見たら設計をしなくてもいきなりプログラミングできるような問題で、確立した技術を用いる問題とは、アルゴリズムを知っていたらなんてことない問題の事。 面倒な問題とは、場合仕分けが多種でからみあっており、整理しにくいような問題。たとえばHendersonの「電報解析問題」など。 難解な問題とは、四色問題を解くなどアルゴリズムのひらめきが必要な問題。 複雑な問題とは、大規模ビジネスシステムのような、面倒な問題がさらに複雑に関係している問題の事。 こう考えると、テスト技術は、面倒な問題と複雑な問題を一緒になって解いていく技術かなと思いました。 テストについても多少触れられています(原因結果グラフと、実験計画法について、極基本的なことが書かれています)。 最後に今後の展望という章があって、今日振り返ってみると面白いことが書いてあるのですが、木村泉先生の次の言葉が印象的でした。   プログラミングとか、システム設計とか、システム分析とかをやっているとき、人の頭の中はどうなっているか、どうやってアイディアをまとめていって、どうやってそれを、どこかに飛んでいってしまわないようにまとめるか、そういう部分をもっとちゃんと調べる必要がある。 「情報処理」Vol. 28, No. 7, p.925, 情報処理学会, 1987 興味を持った方は、CiNiiから読めますので一読をお勧めします。 (パネリスト: 落水浩一郎、菅野文友、木村泉、紫合治、竹内郁雄  司会:鳥居宏治という豪華なメンバーです!)

Posted byブクログ