夏目漱石全集(4) の商品レビュー
漱石、最後の美文体小…
漱石、最後の美文体小説である虞美人草を、本巻では読む事が出来ます。
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いろいろな時期があり…
いろいろな時期があり作品もそれにあわせて分類されます。短編もあるので読んでみてください
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
漱石も未読作品がだいぶ減ってきた。ちくま文庫版の全集をすべて読むという目標を達成するまであと1歩である。さて、本作には「虞美人草」および「坑夫」が収録されている。まず前者は、おもに三角関係について描いた作品であるが、このような悲劇的な結末が待っているとはつゆ知らず、衝撃を受けた。著者みずからも認めるように、甲野藤尾が「悪女」であることは言うまでもないが、このような結末をどうにかして回避する方法はなかったのかについて考えると、どうにも困ってしまう。登場人物の誰もがけっして間違った行動は取っていない気がするし、あるいは逆に、誰もが間違いだらけのような気もする。要は、微妙なバランスの上に人間関係は成立しており、ほんのちょっとのボタンのかけ違いで、自殺者が出るような事態に至ってしまうのだ。そういう人間の本質を描いた作品だと思う。いっぽう、「坑夫」についてはだいぶ「マイナー」な作品だが、それもそのはず、たいした中身らしい中身もない小説で、専門家の評価も高くない。主人公が家を飛び出したところ道中でポン引きに逢い、坑夫になる決心をして案内を受けるも、けっきょく病気が発覚して就労できずという物語で、さすがにこれをどうこう論じろと言われても困る。坑夫たちに対する主人公の罵詈雑言や、逆に主人公が坑夫たちから受けるさまざまな仕打ちは眼につくが、当時の価値観からしてそれが特別なこととは思われない。実話をもとにしているらしいので、じっさい「ネタ元」の経験上ではそのようなことがあったのであろう。それを長長と続けられても、まあそうなのであろうのひとことでおしまいである。ただ、最後のオチだけはすこし考えさせられる部分もあった。現代日本においては坑夫という職業はほとんど絶滅危惧種であるが、ほかの局面においても、このように相手の出方によって態度を変えるということがありふれてはいないだろうか。そう考えると、本作はたんに坑夫の世界を描いたわけではなく、日本社会が、そして人間が抱えているひとつの問題について、坑夫という特殊な世界を使って映し出したものであるともいえるかもしれない。
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坑夫、だけ読みたくて借りる。 (きっかけは、「海辺のカフカ」) いろいろ言われている作品であるようだが、出会えてよかった。
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虞美人草は、昼ドラのような展開で内容は比較的シンプルなのですが、華美な表現が読みすすめるのに、支障だった印象です。幕切れはあっけなく納得できず。 坑夫は、主人公の心境に同調できなかった。そのため他人の旅行記を読んでいるような引いた感覚になってしまう。鉱山体験記のような印象。
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