夏目漱石全集(6) の商品レビュー
現代にも通用する恋愛…
現代にも通用する恋愛小説の名作、それからが読めます。
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名作をたくさん生み出…
名作をたくさん生み出した漱石。全集なので新たな発見があります
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【門】 前期三部作読了。 「三四郎」のようにキュンとする部分も「それから」のように興奮する箇所もない印象としては地味な作品だったけれど、嫌いじゃない。 読んでる時期と本の中の季節がかぶってたせいで、「陰気な暗い師走の中」の鬱屈とした気分をよりリアルに感じ取れました。 それにしても友人の恋人と云っても「それから」みたく人妻というわけじゃなさそうなのに(そのへん具体的に書いてないのでよくわからなかった)、随分大袈裟だとそこだけ今の感覚と差異を覚えた。 世間にいくらでもあることだよねぇ友達の好きな人を好きになっちゃったなんて。 大体なんで安井は「妹」なんて紹介したんだ。 ならいっかーと宗助が御米に惚れちゃう可能性充分じゃない。 ちょっと警戒心なさすぎなんじゃないの。 そんな暢気者なら、恋人にフラれたことなんか案外早く吹っ切って蒙古で活き活き生活してそうな気する。とっとと新しい恋人でも作って。 その事件が宗助や安井の退学の原因になってるっぽいのや親類に眉をひそめられる理由になっていることにも、ちょっとピンとこなかったです。 時代だろうかなぁ。 【彼岸過迄】 最初は割とのん気そうな話だったのに章が進むごとにシリアス味が増していって意外だった。 須永だけでなく敬太郎も含め、漱石の描く男はホント面倒くさいなぁ。 ぐだぐだうだうだ考えてないでもっとオープンにコミュニケートしろよと焦れつつ、人の心の動きを省略せず繊細に描写していったら案外これよりくよくよ迷っているものなのかなとも思う。 しかし、須永みたいな性質の人間が何もせず家にじっとしているのは実に良くないわ。 暇のあるに任せて頭が腐るまで考えてしまうから、神経症になるのは時間の問題という感じ。 そしてそれとは対照的に、漱石の描く女の逞しさよ。 男たちが繊細な分、彼女らの生活力の頼もしさ、対人能力の図太さ、現実を生き抜く力が際立って清々しい。 余談だけれど、この作品で最もインパクトがあるであろう千代子の台詞「あなたは卑怯だ」。 そのまま云ったことはなくとも同じ内容の激烈な言葉を異性に対してぶちまけたことはあって、それに対して本気でびっくりする相手にますます苛立つ感覚をなんとも苦く思いださせられたことです。 内情を覗いて見ると彼らは拍子抜けするほど純朴で毒がないのだ。そこがまた腹立たしい。 千代子の場合、「高木さんに対して」でなく「あたしに対してなぜ嫉妬なさるんです」と云っているのが切ないところ。 千代子も別に須永に切実に愛されたい結婚したいと願っているわけではなくて、須永同様、愛はあれど微妙な心持ちなんだろうな。 結局この後どうなったのか…彼らが一緒になるという道は現実味がない気がする。 「それから」の代助らと違って、お互いに相手ができれば安全な関係に落ち着けるふたりだと思うんだけど。
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ロマンス好きの敬太郎は、友人の須永の叔父から探偵の仕事を紹介される。内容は、眉と眉の間にほくろのある男の行動を探偵して報告しろという、探偵小説のようなものだった。 本の内容も推理小説のようだと思いました。余韻の残る終わりがまた面白く、いろいろ続きを想像できます。
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