ムーン の商品レビュー

ジェームズハーバート【著】,竹生淑子【訳】

2010/04/15

元コンピュータのエンジニアで、今は私立女子校で教師を勤めるチャイルズ。彼はかつて自分の意思に関わらず殺人現場を透視し、連続殺人事件の解決に協力したことがあった。しかしそれによって家庭は崩壊し、彼は逃げ出すようにロンドンを後にしたのだった。そして海水浴を楽しんでいたチャイルズは再び血の匂いと恐ろしい光景を透視する……その日から彼は予期せぬ時に、凄惨な殺人現場の幻影を見るようになる。あたかも犯人自身の目を通して見ているかのように。一方、犯人もまたチャイルズの存在を察知し、彼の周囲へ狙いをつけていく。

うーん、設定としては面白いし、チャイルズが犯人と視覚を同化できるのに犯人自身の姿がわからないでいること、犯人にはチャイルズが誰なのかわかってしまうことで、後半のスリル度が盛り上がることは確かなんだが……。

そして犯人の正体がやや唐突。そんな人間いきなり出されてもねという感あり。ミステリー作品なら通常、意外な人物が犯人だった、とかするんでしょうけれども……。とは言え、犯人のサイコっぷりつーか“イッちゃってる度”はかなりのもの。下手に実在の猟奇犯罪者をモデルにするよりも面白いとは思う。無論、小説として読む上ではの話だが。