太宰治全集(3) の商品レビュー
結婚して比較的安定し…
結婚して比較的安定していた頃に書かれた作品を収録。「走れメロス」のような有名な作よりも、「八十八夜」の方が太宰らしくて好きだ。
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八十八夜、座興に非ず…
八十八夜、座興に非ず、美少女、畜犬談、デカダン抗議、おしゃれ童子、皮膚と心、善蔵を思う、走れメロス、古典風、盲人独笑、乞食学生、失敗園などを収録。僕は、途切れ、途切れしか読んでません。
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収録作品八十八夜 座…
収録作品八十八夜 座興に非ず 美少女 畜犬談 ア、秋 デカダン抗議 おしゃれ童子 皮膚と心 春の盗賊 俗天使 兄たち 鴎 女人訓戒 女の決闘 駆込み訴え 老ハイデルベルヒ 誰も知らぬ 善蔵を思う 走れメロス 古典風 盲人独笑 乞食学生 失敗園 一燈 リイズ「走れメロス」以外はマイ...
収録作品八十八夜 座興に非ず 美少女 畜犬談 ア、秋 デカダン抗議 おしゃれ童子 皮膚と心 春の盗賊 俗天使 兄たち 鴎 女人訓戒 女の決闘 駆込み訴え 老ハイデルベルヒ 誰も知らぬ 善蔵を思う 走れメロス 古典風 盲人独笑 乞食学生 失敗園 一燈 リイズ「走れメロス」以外はマイナーな短編が多いですが、「畜犬談」「おしゃれ童子」は笑えます。それから、「駆込み訴え」は太宰が一気に語り美知子夫人がかたわらで筆記してあっという間に完成させた作品と聞きましたが、文章のリズム感がすごいです。
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久しぶりに太宰治を読んだ。 感性と才能がほとばしっている。 日本はさぞ生きづらかっただろう。 (2019.2)
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お中元でもらう高級お茶漬けセットみたいな1冊。食べ応えのあるもの、懐かしい味のするもの、新しい味のするもの、20篇以上の特色あるバラエティがアソートされてるので、すすすっと読めるうえ、どれも本当に風味が豊か。読みやすさ、親しみやすさにホッとする、そんな1冊だった。 全集2よりも...
お中元でもらう高級お茶漬けセットみたいな1冊。食べ応えのあるもの、懐かしい味のするもの、新しい味のするもの、20篇以上の特色あるバラエティがアソートされてるので、すすすっと読めるうえ、どれも本当に風味が豊か。読みやすさ、親しみやすさにホッとする、そんな1冊だった。 全集2よりも気に入った短編が多かった。 全集2では人の優しさや温かさに触れる主人公の心情変化に主眼が置かれたものが多かったけれど、女性にフォーカスしたものと、太宰自身が生活を省みる自伝のような作品が収録されている。別にそんな他意なく編纂されてるんだろうけど。 畜犬談 皮膚と心 女人訓戒 駆込み訴え 老ハイデルベルヒ 善蔵を思う 乞食学生 あたりが気に入った。なかでも ①溢れ出る愛と憎悪の激烈な感情がどういうわけか隙間なくきちんと収納されている「駆込み訴え」 ②学生相手にムキになる大人に、なおのことムキになる学生の描写がいちいち滑稽で笑えるのに、なぜか甘苦い余韻の残る「乞食学生」 は面白かった。 あと「女は、一瞬間一瞬間の、せめて美しさのよろこびだけで生きているのだもの」がグッときた「皮膚と心」もいい。対象物にどうやって感情移入したらこういう視点で物事をストーリーにできるんだろう。決して太宰が女々しいようには見えないけど、女の決闘、女人訓戒など、男性が空想で書くにはあまりにリアルな作品が目立った。 あと最後に「走れメロス」ね。あれ別にメロス勇敢でもなんでもないわ。文学じゃなく歌で覚えてたからか、勇敢なメロスのイメージが粉砕されて久々に読み直して笑ってしまった。月曜AM中〆の資料提出を、土日やらないで始発で来てやる営業担当となんら変わりないじゃん。上長報告遅れたら考課に響くのに〆切信じて待ってくれたセリヌンティウス営業部長、こんなの美談にしてたら後々出世しないだろうなぁ。
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書き忘れ、やっちまったなあ。短編の分別はわからないけど、これは多いイメージ。こういうのが短編でいいんだよね。ちょっと前だから乞食学生だけ。「よし。よろこびのための酒は一杯だけにして止めよう。よろこびを、アルコオリの口実にしてはならぬ。」
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八十八夜。座興に非ず。美少女。畜犬談。ア、秋。デカダン抗議。おしゃれ童子。皮膚と心。春の盗賊。俗天使。兄たち。鴎。女人訓戒。女の決闘。駈込み訴え。老ハイデルベルヒ。誰も知らぬ。善蔵を思う。走れメロス。古典風。盲人独笑。乞食学生。失敗園。一燈。リイズ。
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八十八夜/座興に非ず/美少女/畜犬談/ア、秋/デカダン抗議/おしゃれ童子/皮膚と心/春の盗賊/俗天使/兄たち/鴎/女人訓戒/女の決闘/駈込み訴え/老〈アルト〉ハイデルベルヒ/誰も知らぬ/善蔵を思う/走れメロス/古典風/盲人独笑/乞食学生/失敗園/一灯/リイズ
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物語の末尾でメロスの親友セリヌンティウスはこう言う。 「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」 勇者は、ひどく赤面した。 と終わる。 裸体とは恥ずべきものだが、ここで...
物語の末尾でメロスの親友セリヌンティウスはこう言う。 「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」 勇者は、ひどく赤面した。 と終わる。 裸体とは恥ずべきものだが、ここで太宰は、正義や信頼に対し、絶対的な肯定を与えたうえで、恥じる、もとい、恥ずかしく思ってしまうもの、と言う意味を与えている。この逆説こそ、太宰治のユーモアであり、他の作家には描けないイメージである。 以前どこかでも書いたが、信じるという言葉には、疑う、あるいは疑い得るという前提があるように思えてならない。信じられないけど、あえて信じてみる。「信じる」と言葉にすることで、信じてみるという意志が湧いてくるものだ。そういえば「信」という感じは、人が言う、と書く。 真に敬虔な宗教家が「わたしは神を信じている」などと、頻度高く言うものだろうか。真に誰かを信じているひとが、「ぼくは〜を信じてるよ」などというだろうか。 「この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺いた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、セリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。セリヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ!」(本文) 本当に欺瞞に満ちた言葉たち。言い訳だらけだし、一人称の文学とはいえ、ここまで語る勇者もいないだろう。しかし、そもそも言葉にする自体が欺瞞であるが、その欺瞞に自覚的であり、それでも、信じることに憧れるのである。わたしが太宰治に共感し、彼を大好きな理由は、まさにこの部分。人間的、あまりに人間的!無垢への憧れを諦めきれない一方で、一瞬でもそうありたいと願う。
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10.9.8~10.9.18 『皮膚と心』収録(http://booklog.jp/users/huka/archives/B004080B48参照)
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