悪魔の見張り の商品レビュー

ジェフリイコンヴィッツ【著】,高橋豊【訳】

2010/05/18

故郷で父を看取って４ヶ月ぶりにニューヨークに戻ったアリソンは、西89丁目の閑静なブラウンストンのアパートを新居に借りた。だが引越した当夜から彼女は奇妙な現象に悩まされる。そして異様な隣人たち―最上階に住む盲目の新婦、猫と鳥を飼う奇妙な老人、不気味なレズビアンのカップル……。彼女は次第に精神的に追い詰められていく。深夜、無人のはずの上の部屋でする物音の正体を確かめようとしたアリソンが見たものは、死んだはずの父親の淫らな醜態だった。

怪異や奇妙な事柄が徐々に主人公を蝕んで（かつ周囲には一切理解してもらえない）いく、そのジワジワ感が何ともいい。全体を通じて描かれる「キリスト教における罪と罰」みたいなものは、日本では縁遠いためか多少判りにくいかもしれないが。これぞ正調オカルトホラーといったところ。ちなみに『センチネル』のタイトルで映画化もされているが、クライマックスシーンのある理由(※)により再映もソフト化もされず長いことカルトムービー化していた。今年（2010年）3月になってようやくDVDが発売されたんだとか。

(※)クライマックスで異形の存在が大挙して登場する場面があるが、特殊メイクを施した役者だけでなく、実際の「奇形」の人々を起用したこと……らしい。