持統天皇 の商品レビュー
「日本古代呪術」を読んで、吉野裕子を発見した!と思いきや、既に本書を大分前に読んでいたことを知り、すぐに再読。 持統天皇の父親は天智天皇だ。 母親は蘇我石川麻呂の娘である遠智娘(おちのいらつめ)。 石川麻呂は蘇我氏でありながら、本流蘇我蝦夷•入鹿に反発し、乙巳の変では、中大兄皇...
「日本古代呪術」を読んで、吉野裕子を発見した!と思いきや、既に本書を大分前に読んでいたことを知り、すぐに再読。 持統天皇の父親は天智天皇だ。 母親は蘇我石川麻呂の娘である遠智娘(おちのいらつめ)。 石川麻呂は蘇我氏でありながら、本流蘇我蝦夷•入鹿に反発し、乙巳の変では、中大兄皇子(天智天皇)に与した。 その石川麻呂は、謀反の疑いで天智天皇によって山田寺で自害に追い込まれている。 持統天皇にとっては、父親が祖父を死に追いやるという事態を経験したことになる。 追い打ちをかけるように、石川麻呂の娘であった母親は狂死してしまう。 こうした悲惨な幼少期を過ごしたいのが持統天皇だった。 女性である著者は、持統天皇の心理まで分け入り、夫である天武天皇を虜にした額田王に対する屈辱感から壬申の乱が引き起こされたと論ずる。 これは、女性による女性心理を読んだ卓見かもしれない。 しかし、持統天皇が、自分が天皇位を継承するために、息子である草壁皇子を亡き者にしたという主張には唖然とした。 夫天武の優秀な皇子で、自分の姉の息子大津皇子を亡き者にしたのは分かる。 それは病弱な草壁皇子の強力なライバルを取り除く行為だからだ。 天智天皇の血を最も良く受け継いだ持統天皇が、人並み外れた権力欲を持っていたこともなっとくできる。 だが、権力欲で、実の息子を亡き者にすることは考えられない。 女性である吉野がこうした珍説を打ち出す理由が分からない。 折角、凄い歴史学者を発見したと思ったのに残念だ。 持統天皇の頭抜けた権力欲は、自分が天皇として君臨することにではなく、天武と自分の血脈に皇位を維持することに注がれたのではないか。 だから、草壁皇子の忘形見、持統天皇にとっては孫に当たる軽皇子への皇位継承に執念を燃やしたのだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『丹生都比売』副読本として読了。 持統天皇による愛児・草壁皇子の抹殺という大胆な推理もなぜか納得させられてしまうのは筆者の情熱によるものか。 それにしても終盤に登場する藤原不比等の恐ろしさに戦慄する。 どこかの本で鎌足=不比等の創作説って読んだ事あるけどこんなに深謀遠慮に長けた男ならやれないこともないだろうなんて想像してしまう・・・
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なぜ息子を殺し、10年で孫に譲位するも権力は手放さなかったのか。五徳終始説で紐解く皇位継承の謎。生い立ち、気質、夫の額田王への愛…これだけの面白い要素があるとは。やっぱり暫く持統天皇追ってみたいです。しかし陰陽五行は難しいです。なかなか理解できない…
Posted by
仏教マンダラの基本は真円と方形。真円がワなら方形は方位のイ。聖徳・聖武をつなぐ大化の改新の総仕上げをした持統天皇こそが五行思想をバックに日本に方位概念を徹底した最初の人なのではないかと思えた。
Posted by
- 1