アンダルシア幻花祭 の商品レビュー
ストーリーよりも耽美…
ストーリーよりも耽美的な雰囲気に浸りたい、という方には向いているかもしれません。
文庫OFF
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※このレビューにはネタバレを含みます
70年代後半発表5作品。 「アンダルシア幻花祭」主人公の女性が友人の恋人の消息を追いかけてスペインまでやってきて、会えたのはその恋人の友人で…。え、主人公は友人の恋人が好きだったんですね?経緯は?気になるがそれは語られず好きであるなどとも口を割らない。けむに巻いてきます。 「刀花の鏡」現在はバーのマスターの多芸多才主人公の華麗なまでの転職物語。人に歴史あるばかりかさらに後半ただマスターやってるだけじゃないけれんみに溢れた店の展開で、そこに高校時代剣道で全国優勝を争ったライバルが現れて「君は、なぜ剣道をやめた。なぜ、そんなことをしてる。そんな暮らしを!」「そんなぶざまな格好を、おれに見せた!君だけは、ちゃんとやってくれてると思ったのに。どこにいたって、君だけは」と声を震わせるのだった。読んでてまだこの人の人生先が長そうだなあと気が遠くなる感じだ。 「五月の鎧」私設学習塾で席を同じくした数人の男女の講師を囲んだ集まりで、不在の一人をめぐり青春の追憶が展開する。P134からp146の男子高校生3人の戯れ場面ときたら息をのむばかりの文の技巧で、肝心なことにはおしまいまで触れずにとうとうと仄めかし続けるの凄かった。上手いダンスみたいな。これが赤江の真骨頂! 「音楽室の岬」芸能界に進むも不器用に言い訳しながら身を持ち崩し、援助してくれた姉は亡くなり、故郷に戻ったときに、近所の人物の姿を見て忘れていた衝撃的な場面を脳裏によみがえらせる主人公。自分の人生のこのありさまはあの男のせいだ、なんて感じのことを云いだすけど、やはり言い訳にしかきこえずむなしいなと思った。 「獣心譜」主人公の画家の庭に咲き誇る桜を見る集まりに、幼馴染の男二人が来る。医師と劇画家、どちらも成功した人物。その時医師の家から刀が盗まれ、ある無人島で血の付いた状態で見つかる。そして劇画家が受け取っていた脅迫状。3人で過ごした子供時代の、特に隠微な気まずい記憶がよみがえって、その事件との因果は?…ですが別に謎は解かれず、あいまいなまま小説は終わる。犯人は?!なんて期待してはいけない。私はついちょっと主人公の奥さんに泣きぼくろあるんじゃないの?!と最初から読み返しましたけどね。私犯人わかっちゃいました。(適当)(きっと犯人は読者一人一人の心の中に…) 過去の思い出にとらわれる人々の話が集まっていた1冊。
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・アンダルシア幻花祭 ・刀花の鏡 ・五月の鎧 ・音楽室の岬 ・獣心譜 の五篇収録。 2009.09.14 読了
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