影の現象学 の商品レビュー
ユング分析心理学の中核である〈影〉概念について日本人はこの本で学べることをよろこばねばならない。 いままでグダグダと考え続けてきたこと、ポスト・モダンの相対性の問題とか、組織を動かす個人を超えた力だとか、創造性にかかわる意識と無意識などなど、ユング&河合先生にはすべて説明されてし...
ユング分析心理学の中核である〈影〉概念について日本人はこの本で学べることをよろこばねばならない。 いままでグダグダと考え続けてきたこと、ポスト・モダンの相対性の問題とか、組織を動かす個人を超えた力だとか、創造性にかかわる意識と無意識などなど、ユング&河合先生にはすべて説明されてしまう。 それが面白くないという贅沢に倒錯した読書だ。 影との対話、そして西洋と東洋を考えるために引かれたヴァン・デル・ポストの物語(『戦場のメリークリスマス』の原作)は感動ものである。
Posted by
文学作品を読み解く上で、参考になるところも多い。卒論書く前に読めばよかったな~と後悔しました。 あと、第四章、特にトリックスターの箇所にどうしようもないインスピレーションを得た。笑 どうしても、ちょっぴり厨二心が疼いちゃいます。
Posted by
「現象学」というタイトルがついているけれど、河合さんの専門であるユング等の世界の話を「影」という観点から考える論考集で、やはり心理学にカテゴライズされるでしょうか。「現象学」というタイトルはあとがきで河合さんが触れてますが、出版社の要請でやむなくつけたのだとか。 そんな事情もあ...
「現象学」というタイトルがついているけれど、河合さんの専門であるユング等の世界の話を「影」という観点から考える論考集で、やはり心理学にカテゴライズされるでしょうか。「現象学」というタイトルはあとがきで河合さんが触れてますが、出版社の要請でやむなくつけたのだとか。 そんな事情もある本ですが、心理学というよりは、文学論としても読めます。中に例えとして引かれる本は、シャミッソーとかホフマンというような岩波の赤帯に入っていそうな本たちで、そのことも個人的には好みでした。『影の現象学』の中で例として引かれる小説は、それらに通低するメッセージをしっかりとご自分の観点でとらえた河合さんによるまじりけのない印象が入っている、と感じられ、自説を強調するために、その例として(小説からしたら)いやいや引っ張ってこられた、というような仕上がりになっているような雰囲気はありません。そのため、これらもまた内容を確認してみたくなります。特に自身興味深かったのはマーク・トウェインの『不思議な少年』の読み解き。『不思議な少年』というのは、明るい作風と思われがちなトウェインからすると、確かに「不思議な」位置づけの作品だなあ、とは思っていたので、人間の影の部分で説明しようとする流れは、素直に腑に落ちます。 4章、5章が特に興味深く、個人的には、人間は「影の部分」と上手く折り合いをつけていくことが大事なのではないか、というメッセージを読み取りました。「日本人とは…」という言い方はあまり好きではないのですが、光の部分と影の部分、というような人間の多面性、という観点から「日本人」というイメージが浮き彫りになることがあるのかもしれない、と、かすかにですが、思ったこともとどめておきたいと思います。 確かに「影」をめぐる物語には魅力的なものが多い!
Posted by
夢や文学、神話などから人間の心の中にある影を読み解いていく。 読みやすいけどとてもスリリングで内容の詰まった一冊。 この「影」という概念は、色々なことを考える指針になりそう。
Posted by
光あるところに影は必ずあらわれる。影は自分と正反対の自分であり、道化でありトリックスターである。それは時に人を成長させ、またある時に人を死に至らしめる。科学が発展し、客観的なパースペクティブがより重要視される現代において、「影」という主観的側面に“スポットライトを当てて”その重要...
光あるところに影は必ずあらわれる。影は自分と正反対の自分であり、道化でありトリックスターである。それは時に人を成長させ、またある時に人を死に至らしめる。科学が発展し、客観的なパースペクティブがより重要視される現代において、「影」という主観的側面に“スポットライトを当てて”その重要性を説いた良書である。
Posted by
影について、夢とか中世のピエロとかの例を出しつつ解説してあった本のはず。永遠の少年は誰かに影を押し付ける、みたいな文があって、確かになぁと納得した記憶がある。
Posted by
ものごとには二面性(多面性)があり、そのバランスで成り立っているんだと改めて気づかされた。今までは漠然とは思ってたけど。とはいえ、この本はとにかく難しい。何回か読まないと、本当の意味で理解できないかも。
Posted by
大学時代、目からウロコが落ちまくった本。 今でもよく読み返します。 私の人間観の基礎を作った、生涯の書。
Posted by
河合先生は文章が上手なので引き込まれます。 ユング派云々とか、そういうのは置いておいて、読み物として面白かった。
Posted by
課題のついでで購入したものの大当たり。 ペルソナ4について考えるのにとてもお世話になりました。 『影(シャドウ)』『道化』『愚者の祭典』『トリックスター』他いろいろ。 ティンときたら是非。
Posted by