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義母と息子 の商品レビュー

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息子を受け入れたい義母に立ち塞がる道徳心

フランス書院文庫の草創期から活躍した作者の2作目ともなれば官能小説の夜明けを告げた作品の1つと言えるであろう。それだけにイマドキとは異なる価値観で描かれている。母子相姦という背徳の禁忌を犯すには高い高い壁として当たり前の道徳心が立ちはだかることを改めて教えてくれる。むしろ受け入れ...

フランス書院文庫の草創期から活躍した作者の2作目ともなれば官能小説の夜明けを告げた作品の1つと言えるであろう。それだけにイマドキとは異なる価値観で描かれている。母子相姦という背徳の禁忌を犯すには高い高い壁として当たり前の道徳心が立ちはだかることを改めて教えてくれる。むしろ受け入れる母の方が年上の大人だけに戸惑い、憂い、反発もする。故にすれ違いも生まれ、結末を左右することにもなる。 また、いわゆる「一竿」以前の作風につき、未亡人ならば亡夫への想いは失せねど新たなパートナーを求めても不都合はないとの考え方が主流であり、息子はあくまで息子として始まり、ハーレム的発想も未だなので複数の男が現れる。その意味では苦渋の主人公であり、イマドキは随分と恵まれてるのだなぁ、などと思ってしまうところだが、要するに本作もそんな苦渋と切なさが滲み出る1987年の1冊なのである。 若くして後妻に入り、今は32歳にして未亡人の義母【美佳子】と高校生の息子。2人の視点で交互に描かれるのは互いへの意識。そして互いの出来事である。息子は学校で教師の秘めやかな場面に遭遇したり同級生との距離が近づいたりから始まるが、美佳子は仕事を通じて再会した大学時代の先輩や、そのツテで知り合った男と順次関係を持つこととなる。好きでもない男に迫られる美佳子視点の官能描写がなかなかにいやらしい。そして後には母子相姦に陥るのを避けるために溺れようと努めたりもする。しかし男達は体目当てだったり、先方の妻が押しかけてきて修羅場になったりで浮かばれないのは後々の作品でも見られる切なさ演出であり、軽んじられ、弄ばれる美佳子を不憫に思い、その原因となる相手を憎悪すればするほど想いが募る息子なのである。 そんな母子の許されぬ情交は中盤から訪れる。お互いが意識するだけして実際は最後の最後に1度きりで幕切れといったお預け感がないのは好印象。描写自体は控えめなるも距離が近づく程に常識が邪魔をして遠ざかってしまう焦れったさも描かれている。そんな紆余曲折とその行く末が醍醐味と言うことであろう。その意味で喜ばしいのは結末がバッドでもデッドでもないところである。

DSK