木と人間の宇宙(2) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
木と人間と宇宙の2冊目、この本は紀州の山々で伐採された木々を筏で流す仕事をする人や、木材商などの人のインタビューや半生期の前半部分と、宇江さん自体の山に暮らす日々の後半部分で構成されている。 前半部分、切ってきた木々を筏に作って、熊野川を流す話が実に面白い。川下りやキャニオリングの原点という感じなのだが、当然遊びじゃないので効率も求められるし、悪天候でも下らなあかん時は下る。そのあたりのプロフェッショナル気質が実にいい、読んでいてワクワクする。 後半の宇江さん日記は、本格的な林業ではなく、山林を維持管理するために下生えを刈ったり、杉を間引きしたりという整備をしている時分の話が主体で、既読の作品よりどこか余裕がありほっこりとする。 宇江作品を読むといつも羨ましくなる。どんなに気張っても、俺らなんかは山はあくまで遊びに行くところに過ぎないが、宇江さん達にとっては山は生活の場そのものなのである。勿論それゆえの厳しさも十分書かれているのだが、それ以上に山に対する密接的な情というのが溢れている。カッコつけない気張らない山での生活、例えば肉体労働の中休み、弁当とともに食べるたき火であぶった塩サバ、なんてことに「うわぁエエなぁ」なんて思ってしまうのである。
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