禅者 久松真一 の商品レビュー
西田幾多郎の弟子でありながら、その宗教理解の深さには西田そのひとも一目を置いていたといわれる抱石久松真一の生涯と思想をコンパクトに解説している評伝です。 青年時代の久松を捕らえた疑団についての考察からはじまり、単に伝統を墨守する従来の禅のあり方を乗り越え、現代の禅者として活動を...
西田幾多郎の弟子でありながら、その宗教理解の深さには西田そのひとも一目を置いていたといわれる抱石久松真一の生涯と思想をコンパクトに解説している評伝です。 青年時代の久松を捕らえた疑団についての考察からはじまり、単に伝統を墨守する従来の禅のあり方を乗り越え、現代の禅者として活動をおこなうにいたる足跡を概観することができるという点では、興味深く読みました。 ただ、久松禅学そのものについて明確な像を描き出すことには成功していないように感じました。もっとも、思想家というよりも禅者としてその生涯を送った久松のような人物を、入門的な解説書を通じて理解しようというのは無理があるのかもしれません。
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