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短歌一生 の商品レビュー

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2014/01/03

著者が、ときに『万葉集』以来の日本の歌の歴史をたどり、ときにみずからの生涯をふり返りながら、短歌について語った本。 佐藤佐太郎のもとで短歌を作り始めた著者は、『万葉集』を高く評価する一方、『古今集』や『新古今集』については辛い評価を下している。貴族社会の中で生まれた『古今集』と...

著者が、ときに『万葉集』以来の日本の歌の歴史をたどり、ときにみずからの生涯をふり返りながら、短歌について語った本。 佐藤佐太郎のもとで短歌を作り始めた著者は、『万葉集』を高く評価する一方、『古今集』や『新古今集』については辛い評価を下している。貴族社会の中で生まれた『古今集』と『新古今集』は、雰囲気に流れやすく自己陶酔的なところがあるとされる。近代歌壇において『万葉集』を高く評価したのは、「写生」を旗印に短歌の革新を主張した正岡子規に連なる歌人たちだった。とりわけ斎藤茂吉は、「実相に観入して自然・自己一元の生を写す」ことをめざした。著者もこうした先人たちの姿勢を受け継ぎ、物と心が本来一つであることを証するのが短歌だという見方を提出している。 こうした歌論を説きつつ、著者は現代の短歌に俳句の事物性を取り入れる方法を探っている。「しらべ」と「ひびき」に満たされている短歌に対して、芭蕉以来の俳句は、事物性をまっすぐに突きつけるところに重点を置く。この事物性を短歌の内にふたたび導入するために、著者が注目しているのが、折口信夫の枕詞についての解釈である。現在では、枕詞は単なる虚辞だとみなされがちである。だが折口によれば、枕詞は歌おうとする心の依り代としての事物性を帯びている。著者はこうした枕詞の理解に立って、短歌の内に事物性を取り戻す可能性を探ろうとしている。

Posted byブクログ

2009/10/04

短歌に一生をかけること。短歌に一生が反映されること。この静観。ただ、著者は短歌のことを知り尽くしているだけに、肯けないところにくると、僕自身は悩まされる。

Posted byブクログ