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言語文化のフロンティア の商品レビュー

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2024/08/06

由良君美の本は中々手に入らない中、唯一持っていた本だ。 英文学の大御所と呼ばれていた由良に英語を習っていた。 読んでいたのは、幕末の日本に来た欧米人の文献だったと思う。 予習している時に、解釈に難渋する難解な文章があった。 悩みに悩んでようやく解読に成功して、講義に臨んだが、由...

由良君美の本は中々手に入らない中、唯一持っていた本だ。 英文学の大御所と呼ばれていた由良に英語を習っていた。 読んでいたのは、幕末の日本に来た欧米人の文献だったと思う。 予習している時に、解釈に難渋する難解な文章があった。 悩みに悩んでようやく解読に成功して、講義に臨んだが、由良の翻訳は、自分としては間違いと否定した翻訳をしているではないか。 その点を指摘して、正しいと思う訳を提示したところ、由良は激怒して、教室を出て行ってしまった。 残った学生たちは「やれやれ」とため息をついたものだ。 四方田犬彦「先生と私」で描いているように、その時、もう、由良は精神を病んでいたのかもしれない。 悲しく切ない思い出だ。

Posted byブクログ