人形 の商品レビュー

佐藤ラギ(著者)

2009/10/04

まず。
美少女を拉致りたい、などという腐男子には向きません。
エロ本でないのは確実ですし、軸となるのは少女ではなく少年です。
そして、ホラー大賞を獲ってますがホラーでもないと思います。
19世紀フランスに実在した残酷人形劇場『グランギニョル』がモチーフとなってます。
SM要素が強いので万人にオススメできません。
私自身、SMは理解できません。痛いのはまだしも汚いのは大嫌いです。

が。

本作『人形（ギニョル）』はナゼか読書用と保管用、２冊持ってます。

佐藤ラギ氏の文章はなんと言うか・・・テンポ良く進むのに、とても静か。
グロテスクな描写も読み進めるうちに「こういうのもありかな」と
思い始めている自分にハッとしたり。飲み込まれそうになる表現力です。

かと思えば微笑ましいシーンも、ちょこちょこ挿入されます。
ラスト近くではすっかり登場人物たちに好感を持っていて
「ガンバレおまいら！」と感情移入しておりました。
※何をガンバルかは読んでみてください。

・現実と空想の境界線でさまよう常識人SM作家
・国籍、正体不明の浮浪美少年
・好奇心旺盛なカメラマン
・浮浪少年の父と思われる謎の非道紳士

愛すべき変人たちの荒唐無稽な人形劇。
無理にでも（？）続編を是非書いて頂きたい。

2012/08/30

　そう、あの刺青は、「人形劇場」への招待状。「人形劇場」の世界は逆しまの世界。虚構が現実、邪悪が美徳、苦痛が快楽で、罪人が統治者。人形を操るはずの人間が人形に操られ、打ち苛み傷つける者が、苦痛の涙を流す。
(P.241)

2009/10/04

「ホラーサスペンス大賞」を受賞した作品だが、
ホラー色は濃くないと思う。
平凡な中年男が、美しい男娼に魅せられ、
監禁しながらいたぶるという数ヶ月間。
これは暴力的なＳＭの世界だ。
性癖としては共感できるところが無かったが、
自分の周りにはない世界観にのめり込んだ。

大賞を取った本なのに、
すでに絶版というところも魅力的。(笑)

2009/10/04

「ギニョル」と言う名前を耳にしたのは、どちらかと言えば不愉快な男からだった。その男は私・SM小説家を実際でもそう言うことをする人だと、何やらひどく誤解しているようだった。その男にむりやり連れて行かれた神社の境内で、そこにギニョルはいた。タダで色んな人に遊ばれているという彼の身体は、酷いものだった。彼の態度とその魅力に私は魅了され、今まで感じたことのない思いがこみ上げてくるのを感じた――――

ギニョルの美しさ、生意気さ、狡賢さ。
そのギニョルの存在に魅了され、私とその友だち・バンちゃんの芸術魂に火を灯した物語。

2009/10/04

エログロと紹介されていた気がするが普通にきれい。
同時に女同士の話も読んでいてこちらのほうが直接的な表現があるかと思ったがそうでもない。

2009/10/04

ＳＭです。美少年です。表紙に惹かれて買いました。
ギニョル（美少年の名前）が生意気で可愛くてたまらん。ツンデレ？　ツンデレなの？
ギニョルを苛めたくなる気持ち、凄く良く判ります！！

2009/10/07

第３回ホラーサスペンス大賞受賞作っと言うことで手に取った作品。表紙も球体関節人形だったし。
ほえー、ぎょぎょ、などと思いながら読み進んでいったけれど、なるほど、大賞受賞作(｡･･｡)(｡. .｡)ｳﾝ っと、思った。

2009/10/04

いろいろな意味でショックを受けた本です。最後に納得いきませんが、読み始めると止まらない。これも題名に騙されました・・・。エロとグロと人間の欲望？

2009/10/04

素直に面白かった。
表紙の間接球体人形そのものです。
グロ的な部分も後半以外はそんなに細かな描写ではなかったのでグロ苦手でも楽に読めました。
難があるとすればラストかな。きっと遠くから遠くから攻めていって最後の一文で核心を！って感じにしたかったんだろうけど、それが遠まわしすぎて何回か読まないと理解できなかった。

2009/10/04

人に薦めると人間性を疑われそうな物語ですが、私は大変好みでした。
登場人物も、設定も、ラストも、全て完璧です。
私の中でＳＭ作品の最高峰。
ごちそうさまでした。