はじめてのOR の商品レビュー
はじめてのOR グローバリゼーション時代を勝ち抜く技法 著:齊藤 芳正 ブルーバックス 良書:プロセスを重視したテキスト OR:オペレーションズ・リサーチとは、ゲーム理論の一分野で、線形計画法に基づく意思決定方法だと認識していたのですが、本書はそのようなことは一切語っていない ...
はじめてのOR グローバリゼーション時代を勝ち抜く技法 著:齊藤 芳正 ブルーバックス 良書:プロセスを重視したテキスト OR:オペレーションズ・リサーチとは、ゲーム理論の一分野で、線形計画法に基づく意思決定方法だと認識していたのですが、本書はそのようなことは一切語っていない 事例(=例題)にもとづき、実際にORを適用する考え方や、適用方法、その評価を淡々と述べている、各部をブレークダウンしている ■ORとは何か ・事例 ①食器洗浄桶の配置 ②爆雷の深度調整(Uボード) ③神風特攻機対策 ・意思決定<一般的手法> ①要望を満たせそうな様々な解決策を考える ②それらを採用した場合にどのような結果が得られるかを評価 ③その中から最適な結果をもたらしそうな案を選定 ⇒問題点 ①ハード面が重視されて、ソフト面での配慮がなされていない ②定性的評価が中心であり、客観的な定量的観点からの評価に乏しい ⇒ORの適用 ①運用(ソフト)を検討対象とする ②定量的評価を行う ⇒科学的意思決定法(ORを加味した方法) ①疑問、問題を表現する ②仮説提唱 ③仮説から演繹を行う ④演繹を観察、実験で検証する ⑤結論を引き出す ・ORの定義 ①ソフトである運用を検討対象としている ②定量的な評価をしている ③科学的方法である ④スタッフ機能である ・JIS(JIS Z8121:OR用語)での、ORの定義 ORとは、科学的方法および用具を体系の運用方法に関する問題に適用して、方策の決定者に問題の会を提供する技術である。 ■ORの一般的方法 1)体系を把握する ・時系列的に時間を追って観察していく方法 ・空間的に部分ごとに観察していく方法 2)目的を明確にする ・どういう目的を果たそうとしているのか ・どのような状態にしようとしているのか ・どうなれば良いと考えているのか ・何のためにその活動をしているのか 3)評価尺度を決める ・目的達成の度合いを測り得ること ・計量化できること ・計量できること ・物理的な意味をもっていること ・簡単なものであること ⇒ 考慮すべき目的が複数ある場合 ・より上位の目的に基づいて評価尺度を導き出す ・評価したい項目を合成して評価尺度を作る ・評価したい項目に重みづけをし、それを加え合わせて評価尺度を作る ・もっとも重要と判断される評価項目を選定し、それをもって総合的な評価尺度とする ⇒ 評価項目をまとめることが難しい場合の方法 4)体系をモデル化する ・要因を抽出する ⇒メリット・デメリット分析表 ・要因間の関係を式や図、表で表す ・モデルを検証する 5)最適な運用方法を求める ・実対象を操作して最適な運用方法を見つける方法 ・モデルを操作して最適な運用方法を見つける方法 ⇒解析的方法による場合 ⇒実験的方法による場合⇒モンテカルロ法 ⇒シミュレーションモデルの作成 ①生起事象を順序づける ②部分的なシミュレーションの方法を決める ③全体的なシミュレーションの方法を決める ④フローチャートを描く ⑤ワークシートを作る⇒ハンドシミュレーション 6)意思決定者に提案する 各案の確率、期待値 統計分析表に加えて、具体的施策を列挙する 7)実行状況を管理する 継続的計量とその分析 ■ORのあゆみ ・イギリスで第2次世界大戦前後に誕生 ・アメリカに伝承 ・1955年に日本の防衛庁にも伝承 ■まとめ 荘子 大を用うるに拙なり 固定観念にとらわれずに、もの、に即した考え方をすべきである もくじ はじめに 第1章 ORとはなんだろう 1 そもそもORとは? 2 意思決定のためのOR 3 ORの特徴 4 ORの定義 第2章 実際にORを使ってみよう 1 どのようにORを適用するか 2 実際の問題への適用 第3章 ORのあゆみ 1 ORの誕生と発展 2 OR関係年表 おわりに 参考図書 さくいん ISBN:9784062573696 出版社:講談社 判型:新書 ページ数:208ページ 定価:820円(本体) 発売日:2002年05月20日第1刷
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図書館で借りた。 オペレーションズ・リサーチという分野の入門書。 個人的にORは情報処理技術者試験のイチ試験範囲として知った分野で、広くはゲーム理論や在庫管理的な応用数学の話なんでしょ?と偏見を持っていた。 しかし、この本で元々は軍事研究から発達した学問分野なのだと再認識。新書...
図書館で借りた。 オペレーションズ・リサーチという分野の入門書。 個人的にORは情報処理技術者試験のイチ試験範囲として知った分野で、広くはゲーム理論や在庫管理的な応用数学の話なんでしょ?と偏見を持っていた。 しかし、この本で元々は軍事研究から発達した学問分野なのだと再認識。新書の内容としてはそれほど厚くはないが、「ORとはなにか」を見直すには非常に参考になった。また、防衛大学関係者から出る出版物としても初めて。他にあるのであれば探してみようと思った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
戦略研究(OR)の有無が、第二次世界大戦の勝敗を決めた背景にあると言われている。 暗号、弾道計算のコンピュータを駆使した事項も、それを優先すべきという戦略があったこそだ。 日本の防衛庁にも専門家がいることを知って安心した。
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