I WANT TO KISS YOU の商品レビュー

麻生玲子(著者)

2011/10/11

　お互いに惹かれ合っているのはわかってるのに、自分が傷つくのが怖かったり、世間の一般常識が邪魔をしたり……で、なかなかちゃんとした形には収まらない二人の話でした。

　好きだって自覚したのにちゃんと告白しなかったり。
　告白しても、なかなか身体を重ねなかったり。
　身体を重ねても、以前からいた彼女と別れようとしなかったり。

　なんとなく、人間の持つ矛盾を素直に表現した作品のような気がしました。

　だって、BLでは当たり前の男同士のカップルだったりする訳ですが。
　やっぱりそれだけの関係に踏み出すのって、なかなか勇気が要りますよね。
　惰性でだってつき合える訳だし。

　ただ、その辺りの表現は、とっても上手にされていると思うので、ちっとも鼻についたりする感じではありませんでした。

　でも、この二人のすごいところは、吹っ切った後の行動力がすごいところですよね。
　そんなことまでしちゃうんだ……ってラストにびっくりしました。

　いや、そんな予想通り普通になったからいいものの、これってこんな風に綺麗にまとまらなかったら、どうするつもりなんだろう……？　って、ちょっと不安になってしまった。
　高校生な亘は、「若気の至り」ですんじゃうけど、中野はそうはいかないと思うんですが……という。
　でもまぁ、本人たちが幸せだったらそれでいいのかなー……。
　ただ、どうでもいいですが、一つだけ疑問なのが。
　亘の学費は誰が出すんだろう……？　ってことですよね。うむ。