ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間 の商品レビュー
元医師であり、現長野県松本市長である菅谷 昭氏がベラルーシの子供達の甲状腺ガンの手術にあたりながら、子供たちとその家族との交流を描いた作品。 甲状腺ガンをわずらい、 みんなそれぞれに苦しみや悲しみを背負って、それでも笑顔を忘れず希望を持って生きている。 この本からは「悲惨」とい...
元医師であり、現長野県松本市長である菅谷 昭氏がベラルーシの子供達の甲状腺ガンの手術にあたりながら、子供たちとその家族との交流を描いた作品。 甲状腺ガンをわずらい、 みんなそれぞれに苦しみや悲しみを背負って、それでも笑顔を忘れず希望を持って生きている。 この本からは「悲惨」といキーワードよりも、むしろそれでも前向きに生きている、ポジティブさと勇気というキーワードを感じます。 活字も大きく読みやすく、小学校高学年、中学生くらいの子供に、これからの時代、読ませるべき本だと思いました。 かなり前に読み終わったのですが、いつ読んだのか覚えていないので、とりあえず7月1日ということで・・笑
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【東日本大震災関連・その⑦】 (2011.06.07読了) 神さんの本棚にあった本です。福島原発による影響を考える上で、参考になることがあるだろうかと思いつつ読んでみました。 チェルノブイリは、ウクライナに属するのですが、ベラルーシとの国境近くにあり、風向きの関係で、ベラルーシの...
【東日本大震災関連・その⑦】 (2011.06.07読了) 神さんの本棚にあった本です。福島原発による影響を考える上で、参考になることがあるだろうかと思いつつ読んでみました。 チェルノブイリは、ウクライナに属するのですが、ベラルーシとの国境近くにあり、風向きの関係で、ベラルーシのゴメリという村が、大きな被害を受けたようです。 著者の菅谷昭医師は、主に、ベラルーシのミンスクの病院で甲状腺がんの手術に当たりました。この本は、手術を受けた子供たちや家族との交流を記述したものです。 ●チェルノブイリ原発事故(5頁~7頁) チェルノブイリ原発の建設は、1971年から75年にかけて行われ、一号炉から四号炉までありました。四号炉が1986年4月26日午前1時23分に大爆発事故を起こしました。ウクライナの北隣に位置するベラルーシ共和国は、国土の20%が大きな被害を受けてしまいました。事故が発生したときモスクワの中央政府が、それを知りながら、住民に対して情報をすぐに公表しませんでした。そのため、適切で効果的な初期の汚染防止対策が行われませんでした。 ●甲状腺(8頁) 甲状腺は首の前方にあり、のど仏の下に位置しています。小さな内分泌機関で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンとは、身体の発育や代謝に欠かすことのできないホルモンで、人が生きていくうえで重要な働きをします。このホルモンは、ワカメや昆布などの海藻に含まれている「ヨード」を原料として、甲状腺の細胞の中で作られます。 チェルノブイリの原発事故で放出された放射性物質の中に、「放射性ヨード」がありました。海藻に含まれるヨードは「無機ヨード」と呼ばれていて、害のないものです。でも「無機ヨード」が不足した状態の時「放射性ヨード」を口や鼻から吸い込んでしまうと、ヨードを欲していた甲状腺はたちまちのうちに、有害な「放射性ヨード」を取り込んでしまいます。 甲状腺に放射性ヨードが取り込まれると、体内で放射線が放出され続け、それによって細胞の遺伝子が傷つき、悪性腫瘍(がん)が誘発されると考えられています。 ●ベラルーシの子供たち(10頁) ベラルーシ共和国の子供たち(0~15歳未満)の間で甲状腺がんの患者は、事故前の10年間には7人だったのが、事故後の10年間に424人と、約60倍にも増えました。この病気は、男の子に比べて女の子の方がはるかに多いのが特徴です。大人の甲状腺がんの事故後の増加率は約3倍です。 子供の甲状腺は、大人に比べて放射性ヨードを多く取り込みやすく、大人よりもずっと影響を受けやすいことが、科学的にも証明されています。 ●森のキノコやイチゴ(38頁) 豊かな自然の中で生活しているベラルーシの人たちにとって、森のキノコやイチゴを収穫するのは、とても楽しく嬉しいことです。子供たちもみな、キノコやイチゴが大好きです。しかしキノコやイチゴは特に放射能の汚染がひどく、それを食べることは、本当はとても危険なのです。 ●ホルモン剤(78頁) 甲状腺がんの手術で甲状腺を取ってしまった子どもたちは、一生ホルモン剤を飲み続けなければなりません。 ☆関連図書(既読) 「朽ちていった命」岩本裕著、新潮文庫、2006.10.01 「原発と日本の未来」吉岡斉著、岩波ブックレット、2011.02.08 (2011年6月12日・記)
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