無根拠への挑戦 の商品レビュー
ドイツ観念論の高峰のひとつとされるフィヒテの思想を解説している本です。 フィヒテの知識学は、カントの批判哲学の発想を継承しつつ、「自我の定立」から「非我の反対定立」をみちびき、両者の交互限定によって悟性のカテゴリーをはじめとする、人間の認識を可能にする種々の条件の成立を解き明か...
ドイツ観念論の高峰のひとつとされるフィヒテの思想を解説している本です。 フィヒテの知識学は、カントの批判哲学の発想を継承しつつ、「自我の定立」から「非我の反対定立」をみちびき、両者の交互限定によって悟性のカテゴリーをはじめとする、人間の認識を可能にする種々の条件の成立を解き明かす哲学体系です。こうした体系的な思想が、創造主である神から世界のすべてが生み出されていくかのようなプロセスとして展開されていて、おなじくドイツ観念論の思想家の一人とされるシェリングとはべつの意味で、きわめて難解な思弁であるような印象を受けます。 著者が、こうしたフィヒテの思想を多くの読者に理解できるようにわかりやすく解説しようとしている努力は、じゅうぶんにつたわってきました。鏡のなかの自分を見るという日常的な例をあげて、見られつつ見ている「私」のありかたにどのような問題が伏在しているのかということを説明し、そのケースになぞらえてフィヒテの自我哲学の中心的な問題にアプローチするという本書の試みは、そうした著者の工夫のひとつといってよいと思います。ただ、それでもやはり、難解さは拭いきれないという感想をいだいてしまいました。
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なるほど、わからん。 知識学が深遠で、難解なものであると言うことが理解できた。新書で素人向けに著された知識学、哲学の本を読んでみたいと思う。
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