江戸・管理職哀歌 の商品レビュー

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2013/05/12

派閥と汚職が渦巻く中を重臣たちは、いかに生きのびたのか? 熱い共感を呼ぶ8万3000日の記録。 「永保記事略」の章   初代から三代まで 「庁事類編(上)」の章 四代から七代まで 「庁事類編(下)」の章 八代、九代 藤堂藩伊賀城代家老日誌を元に管理職の哀歎を綴る。 ...

派閥と汚職が渦巻く中を重臣たちは、いかに生きのびたのか? 熱い共感を呼ぶ8万3000日の記録。 「永保記事略」の章   初代から三代まで 「庁事類編(上)」の章 四代から七代まで 「庁事類編(下)」の章 八代、九代 藤堂藩伊賀城代家老日誌を元に管理職の哀歎を綴る。 城代家老は藤堂姓を名乗っているが、元は伊賀の土豪で服部一族。初代は保田采女元則といい7000石を禄した。 藩主藤堂家は32万石、伊勢伊賀のの国持大名であるが、久居と名張の支藩や高録の重臣達を抱えている。 昔、NHKのドラマに「不熟につき」という作品があった。 小林薫が家老家の祐筆を演じ、名張藤堂家(祖先は丹羽長秀の三男)の独立騒動を扱っていた。本書はドラマをきっかけに出版されることとなったそうである。(著者が脚本を書いている) 素材は面白いと思うが、いまいち楽しめなかった。どうにも著者の書き方に違和感を感じる。一つは、事件の見方に飛躍があることである。例えば、銅山疑獄事件、備中国の銅山請負開発に投資をしたが事業の見込みが立たず損失を被った事件について、将軍綱吉の嫌いな酒井忠清の娘婿である藤堂家が鉱山発掘によって利益を上げた場合、幕府から難癖をつけられるのを恐れたという窺った見方をしている。 もう一つは、史料を読む時に現代的な価値観を全面に出しているところである。藩主は幕府に気を使っていた。家臣は藩主の胸先三寸であった。領民は武士に虐げられていた。という見方はあまりにも短絡的すぎる。歴史を扱った本なのに参考文献一覧が無いのもいただけない。 とはいえ、なかなか知る事の出来ない地方の史料を知り得たのは良かった。

Posted byブクログ