オイディプス症候群 の商品レビュー
2002年単行本発行、2006年新書版。 矢吹駆シリーズの5作目。 パリ大学の女学生ナディア・モガールが語り手。1970年代の末、ザイールでエボラ熱に似た奇病が発生、若き免疫学者フランソワが現地へ飛ぶ。 パリでナディアは病を得たフランソワに再会、恩師にレポートを手渡すことを頼まれ...
2002年単行本発行、2006年新書版。 矢吹駆シリーズの5作目。 パリ大学の女学生ナディア・モガールが語り手。1970年代の末、ザイールでエボラ熱に似た奇病が発生、若き免疫学者フランソワが現地へ飛ぶ。 パリでナディアは病を得たフランソワに再会、恩師にレポートを手渡すことを頼まれる。 病気の流行の裏に何かあるとにらんでいるらしい矢吹。 ギリシャへ飛んだ二人は、ダイダロス館という孤島の館へ。 持ち主アリグザンダーは血液製剤の会社を経営する富豪で、妻はその土地出身の女優。 集まったメンバーは政治家や哲学者、古代ミノア文明研究家、スウェーデンの女医など謎めいた組み合わせ。 中庭のミノタウロスを思わせる牛首の巨像に突き刺さるように落ちた死体が… 島に閉じこめられたメンバーは、次々に命を狙われる? シリーズ前作発行からは10年たっているが、小説世界ではまだ2年ぐらい? 哲学問答も含む理屈っぽい本格ミステリ。 20世紀精神の遍歴史を描き尽くそうという意図があるそう。 作者は1948年東京都生まれ。 1979年、矢吹駆シリーズの1作目「バイバイ、エンジェル」でデビュー。 2003年には、この作品と「探偵小説論序説」が第3回本格ミステリ大賞の小説部門と評論部門のダブル受賞。
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矢吹駆シリーズ 友人である医師フランソワからギリシアへの届け物を依頼されたナディア。フランソワの共同研究者マドック博士の研究所の火事。ザイールでの謎の病気の蔓延、フランソワの友人スウェーデン人女医オーサの死。アテネ空港ではぐれたナディアと駆。ナディアの友人コンスタン・ジュールとの再会。タクシーで同情した女医ソーニャ・ラーソン。ミノタウルス島へ渡る直前のアメリカ人旅行者ディーダラス氏の転落死。ミノタルルス島に招かれた人々。招待主ブルーム氏の借りたレンタカーの転落事件。哲学者ダジールの秘書トランとして島に渡ったカケル。嵐の島。アメリカ人地方政治家ダグラス氏の転落死。串刺しにされた遺体。同時に島から逃げ出そうとした使用人バシリスの船の転覆。夫を救出に向かい波のまれたダナエ。事件の翌朝発見されたマドック博士の遺体。絞殺され転落した遺体の秘密。オイディプス症候群の研究の為に招かれた人々。謎のマリユス・マルボー。島の持ち主アレクザンダー氏の妻イレーネ・ベロニアスの過去と息子ポールの誘拐強姦事件とオイディプス症候群の関係。アメリカのゲイ社会に流行したオイディプス症候群。島の捜索中に水中銃で射殺されたソーニャ・ラーソンとデリンジャー。元刑事ポッツ氏の殺害。ザイールのオイディプス症候群の発生時キャンプを訪れた謎の男女の正体。ニコライ・イリイチ・モルチャノフの暗躍。コンスタンとイリイチの関係と決別。 削除
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矢吹駆シリーズ五作目。 ゲイに対する差別、性病・・・と色々と考えさせられる話でした。 今回も駆とニコライ・イリイチの直接対決は見れず残念です。 最後のシーンでのナディアが少し切ないです。
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生まれてから今まで読んだ本の中で最も厚さがある本だった。 推理小説だが、ここまでボリュームがあると、導入部分が苦しい。 後半の推理部分で一気に面白くなったのは評価したい。
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「探偵小説の原点「矢吹駆」シリーズ、待望の最新作!エーゲ海に浮かぶミノタウロス島。不思議な建造物ダイダロス館に集まった十人の男女は、ギリシア神話をなぞった装飾を施されながら次々と殺害されていく…。カケルが示唆する孤島の連続殺人の「本質直観」とは…。 」 書評より 笠井潔は、矢吹駆...
「探偵小説の原点「矢吹駆」シリーズ、待望の最新作!エーゲ海に浮かぶミノタウロス島。不思議な建造物ダイダロス館に集まった十人の男女は、ギリシア神話をなぞった装飾を施されながら次々と殺害されていく…。カケルが示唆する孤島の連続殺人の「本質直観」とは…。 」 書評より 笠井潔は、矢吹駆だけ、追いかけています。
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語り手であるナディア・モガールのウザさといったら、近年見たことがないほどのものだが、それを上回る矢吹駆の天才っぷりな魅力。推理界においても、こんなに天才肌なキャラクターは稀ではないでしょうか。本格推理小説だというのに、現象学を基礎に論じるために、「事実と夢幻のあいだに原理的な区別...
語り手であるナディア・モガールのウザさといったら、近年見たことがないほどのものだが、それを上回る矢吹駆の天才っぷりな魅力。推理界においても、こんなに天才肌なキャラクターは稀ではないでしょうか。本格推理小説だというのに、現象学を基礎に論じるために、「事実と夢幻のあいだに原理的な区別はない」と言い放ち、最後に謎を解き明かしてくれるのか、いつもハラハラします。
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