徴兵制と近代日本 1868-1945 の商品レビュー
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1996年刊行。著者は東京大学文学部助教授。元来、徴兵制の法制面は、多様な免役条項が多数の人々に適合し、名ばかりの「国民皆兵」という特殊性のみから分析。が、本書は、徴兵制度の変遷、変遷時の関係省庁や関係者の議論を丁寧に素描し、立法事実的な分析を踏まえて、新視点を見出そうとする。その新奇な面は①徴兵制は、特に初期は多数の兵員を求めたわけではない、②むしろ、精兵とするべく優秀な人材確保を促し、③少数精兵という理想が、日清・日露という現実の戦争の前に掘り崩されて、徐々に多数兵を求めるに至ったことが挙げられる。 また、その後も、限定予算の中で多数の兵員確保とその兵の教育・精兵化の両立を模索しようとするが、④多数の兵員を求める上で、「公平な負担」という錦の御旗を立て、貧困層に一定の共感を生んだこと、⑤が、軍の発想の究極は兵員を「モノ」、「体力重視」としがちであって、特に高学歴学生を重視する視点は、法制度上は乏しいこと等が語られる。立法事実の詳細な分析と法制の淵源となる外国法の検証は、実に著者らしい緻密さ。ただ、日中戦争以降のそれはやや駆け足の感あり。
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徴兵制の歴史。 各資料に基づき、徴兵制の性質の変遷を解説。 非常に興味深かった。 再読。
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