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時の主人 の商品レビュー

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2012/08/25

十七世紀末のある公国には、時計職人がいた。 当時、時計はぜんまいを巻かなければならないものばかりで、宮廷内の218の時計のぜんまいを毎日巻き、時計を修理し、管理した。 公国を治める公爵は、寝床に若い娘を夜毎はべらせ、特に熱をこめることもなく統治し、貴族の特権を謳歌しているように...

十七世紀末のある公国には、時計職人がいた。 当時、時計はぜんまいを巻かなければならないものばかりで、宮廷内の218の時計のぜんまいを毎日巻き、時計を修理し、管理した。 公国を治める公爵は、寝床に若い娘を夜毎はべらせ、特に熱をこめることもなく統治し、貴族の特権を謳歌しているようにみえる。 長く宮廷の時計の管理をしていた老人が、ある日突然失踪する。 次に雇い入れたイタリアの時計職人は、何者かに襲撃され、何日か宮殿で傷を癒したあとに出て行った。 三人目の時計職人は、ポーランドから来た男で大将という愛称で呼ばれた。 すべての権利を掌握していた公国の王者の公爵は退屈をしていた。 春の夜、公爵はポーランドから来た時の主人と共に、夜中、宮廷の時計たちが正しく時を刻むための仕事についていった。 時計職人と公爵の奇妙な友情が生まれる。 突然、時計職人はイギリス人の洗濯女と結婚する。 公爵は表面上は祝福しつつも落胆した。 やがて娘が生まれた。 その娘は成長し、そして悲劇が起こる。 クリストフ・バタイユは、「まず、死についてのヴィジョンが描きたかった」と述べているが、この作品の旋律は廃滅と憂鬱。時間という絶対的秩序を管理する職に就く時計職人と公爵の間には退廃的な時間が流れている。 ヴェルサイユで生まれ育った作者は宮殿の闇の中を、燭台を片手に進んでいく時計職人が見えるという。

Posted byブクログ

2009/10/04

初めての視点だった。 或る男の話。 その男の仕事はヴェルサイユの広大な城の中にある全ての時計を調節して回る事。 だから「時の主人」 これすごく良いです。

Posted byブクログ

2009/10/04

彼は、時間そのもののように、原因もなければ結果もなかった。(『時の主人』より)『安南』(同書店で紹介)のクリストフ・バタイユ待望の第三作。バタイユ節、今回も炸裂。ほんとに綺麗な文章を書く作家です。まだ、若いのに。文章に酔いしれるという言葉がぴったり

Posted byブクログ