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夜の哀しみ(下) の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2022/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夏休みに図書館で借りた上巻を読んで、やっと下巻を読み終わった。 下巻を読みながら新聞小説なんだろうなとおもっていたら、後書きでまさにそうだと書かれていた。性に翻弄される北の女性というテーマを、新聞小説に落とし込めた作家の覚悟に感服する。「新聞小説に文学を取り戻す」もしリアルタイムでこの作品を追えてたらどれだけ嬉しかっただろうか。 三浦哲郎の作品性についてずいぶん理解しているつもりだが、この作品は同時代の他作家とのちがいが如実に現れているようにおもった。おそらく8-90年代の時代設定で書かれているはずだが、現代的というよりは田舎の匂いがする。主人公の登世は出稼ぎの夫を待つ二人の子を抱えた妻であり、電車を鉄道とよぶくらいに都会とはかけ離れた文化の中で暮らしている。だれがこの時代に、この人物造形と物語で書き切れるだろう。ディズニーランドにもマウンテンバイクにもファミコンを新しい文化と脅威として捉えて主人公を追い込む細部としてとても光ってみえる。 僕は少々三浦哲郎に憧れすぎている節があるが、現代を描くということを忘れてはいけないようにおもった。自分が知っていることを、自分の土俵で書く。そうでなくっちゃ。

Posted byブクログ

2010/11/27

男の不倫なんてよく耳にする話だが、これは二人の子供のいる不倫の話。そしてある時をきっかけに、家族に亀裂が入り、子供があるがまじき行為、親を強請り始めることになった。家族崩壊という深刻な状況、そして登世の衰弱をよく見ることができる。誰が悪いとかそういうのを問いたいのではない。人間の...

男の不倫なんてよく耳にする話だが、これは二人の子供のいる不倫の話。そしてある時をきっかけに、家族に亀裂が入り、子供があるがまじき行為、親を強請り始めることになった。家族崩壊という深刻な状況、そして登世の衰弱をよく見ることができる。誰が悪いとかそういうのを問いたいのではない。人間の誰もが持つ欲望と渇望そしてそれへの葛藤。改心するのを最後まで願った親の姿には感動した。この本を通して女性の「欲」またはその「心」みたいなものを垣間見て、ためになった

Posted byブクログ