柳生宗矩 春の坂道(1) の商品レビュー
おもしろいです!柳生…
おもしろいです!柳生宗厳や家康、秀吉を別の方向から見ることができますし、柳生宗矩が切磋琢磨と己を磨いてより上の志を目指していっているのも良いです。
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全4巻「柳生宗矩」はでっかいケーキだ。このケーキが甘くて結構美味しい。 1971年、NHKの大河ドラマ「春の坂道」のために書き下ろされた原作。オイルショック直前、いかに自分を社会に生かしていくべきかを描いた作品。ある意味、同じ71年に完結した「巨人の星」と似た一心一徹な生き方の提示であり、そういう生き方が好まれた時代の作品なのかもしれない。 とは言いながら、面白いことには間違いない。リアルタイムで「春の坂道」を見ていたので、宗矩の所作言動はすべて中村錦之助の姿と重なる。世間に反抗するだけの青年宗矩が石舟斎とともに家康と出会い、戦国末期の戦乱から学び、家光までの三代将軍の傍にあって、剣を平和のために生かす生き方を全うし終えて往生するまでを描く。 残念ながら立会いの場面はほとんどなく、あくまでテーマに沿って彼は平和のために奔走する。女性も絡んでくるけれど、みな男性の夢を手助けする理想に近い存在。今読むとそんなところがやや物足りないと感じるのは歳のせいか、時代のせいか。 描かれた宇宙は丸い。心根からの悪人はおらず、登場する人物はみな真っ正直に自分の人生を生きようとしている。物語全体が未来への希望に満ちた光に包まれている。だから全26巻の「徳川家康」と同様、スイスイと読んでいける。 ドラマ原作のせいか後半はやや駆け足で尺不足。前半の方が圧倒的に面白い。 登場人物で最も生き生きして自由自在に動いていたのはやっぱり家康。お手のものだものね。 柳生コンプリート計画ですが、ホールケーキで満腹になったので、次は悪の柳生か十兵衛の冒険ものを読もうと思います。
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全巻通読後のレビューです。 兵法師範の柳生石舟斎(こちらも講談社から文庫化)を父に持ち、柳生新陰流を確立した人物。 徳川3代に仕え、秀忠、家光の治世には兵法のみならず、政治面でも将軍に様々なアドバイスをおくった。 江戸幕府の土台作りに尽力し、立派な名君を作り上げたにも...
全巻通読後のレビューです。 兵法師範の柳生石舟斎(こちらも講談社から文庫化)を父に持ち、柳生新陰流を確立した人物。 徳川3代に仕え、秀忠、家光の治世には兵法のみならず、政治面でも将軍に様々なアドバイスをおくった。 江戸幕府の土台作りに尽力し、立派な名君を作り上げたにもかかわらず、その禄はわずか1万2500石であった。 というのも、宗矩が固辞して、これだけしか受けなかったからである。さらに死去の際にこれも返上を申し出ている。 ここに柳生新陰流の真髄が見える! 厳しい修行の上に作り上げられたしっかりとした人生観は、我々にも参考になる。 余談だが、秀吉時代から家光の治世まで書かれているので、関ヶ原や大阪の陣についても詳しく、家光の弟・忠長の切腹、島原の乱にまで触れていて、それらの歴史的事象を知るのにも役立つ。 新陰流の人材育成の方法、宗矩の政治手腕、人生観が特に見どころです。
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剣豪小説・・・というと語弊があります。 この作品には前編通して剣戟の描写はあまりありません。 柳生宗矩が、剣術の精神をいかにして政治の世界に生かそうと苦心したか? そんな成長ストーリーです。 原題は『春の坂道』。大河ドラマの原作です。
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徳川家康を読み終わったのが悲しくて家康・秀忠・家光三代の師ともいえる柳生宗矩に手をつけました(笑)真っ直ぐというか意地を通したというか、その生き方は『清冽』です。全4巻。
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