萩原朔太郎写真作品 のすたるぢや の商品レビュー
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「僕の心の中には、昔から一種の郷愁が巣食ってる」と書き、その郷愁をたぐり寄せるために立体写真を撮った詩人、萩原朔太郎。 ということで、朔太郎が撮影した写真が60数点収録されている。 ”立体写真”というところには、さしたる意味はない。 中には、立体視して見てみると、奥行きの際立つ作品も、2,3点はある。その他、たいていは、3Dカメラを使って撮った意味が、あまり見いだせないものが多い。 とはいえ、その画面の切り取り方が、いい。詩的と表現することもできるが、時間の経過という淘汰を経た日本の風景が、実に味わい深い。 「きのふまた身を投げんと思ひて 利根川のほとりをさまよひしが」 という「利根川のほとり」という一文の脇に、その利根川河畔で撮られたであろうセルフポートレート(なのか?誰かに撮ってもらったか?)を添えれば、それだけで味わい深い。 「憂鬱の川邉」と題された一文には、青焼きのような小さな野の川の風景が切り取られて置かれてある。ピントもあってないような鮮明でない写真がまるでモネか東山魁夷の絵のようだ。 「その器械の光學的な作用をかりて、自然の風物の中に反映されている、自分の心の郷愁が寫したいのだ」 その企図は、少なからず成功していると思われる。
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ブックカーニバルinミサキで購入 古い東京の写真に驚き。大森駅付近の複線未電化の東海道線とか、看板建築の並ぶ商店街、切り通しの坂(今のどこらあたりになるのだろう?)など。 あとは立体視写真の多さにも驚き。視覚的変化とか考えると猫町につなげて考えたくもあるが、まあ違うだろうな。 (...
ブックカーニバルinミサキで購入 古い東京の写真に驚き。大森駅付近の複線未電化の東海道線とか、看板建築の並ぶ商店街、切り通しの坂(今のどこらあたりになるのだろう?)など。 あとは立体視写真の多さにも驚き。視覚的変化とか考えると猫町につなげて考えたくもあるが、まあ違うだろうな。 (購入当時考えた)詩人が撮る写真に詩的性な物があるかどうかは判断できず。今後の宿題。
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