クレヨン王国 超特急24色ゆめ列車 の商品レビュー
350匹のオタマジャクシを育てる著者の福永先生。日照り続きで田んぼに帰したオタマジャクシたちのピンチに、幼少期の友人が描いた24色ゆめ列車がやって来た。タイトルからワクワクするようなカラフルファンタジーを想像していたが、少年期の戦争体験が描かれる重めのお話。林少年の心優しさ、伊...
350匹のオタマジャクシを育てる著者の福永先生。日照り続きで田んぼに帰したオタマジャクシたちのピンチに、幼少期の友人が描いた24色ゆめ列車がやって来た。タイトルからワクワクするようなカラフルファンタジーを想像していたが、少年期の戦争体験が描かれる重めのお話。林少年の心優しさ、伊吹姉妹の残酷さが心にずっしりしたものを残す。乗り込んだ瞬間は楽しそうなゆめ列車も車両を経るごとに不穏な雰囲気に包まれていく。単なる大団円で終わらないところがクレヨン王国シリーズの魅力。
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冒頭のファンレターにて、宛名が書いてなかったり、切手代わりにシールが貼ってあったり、封筒の中にそのまま小銭が入ってたり、児童文学作家あるあるな話で、手間だけど嬉しいだろうなと面白かった。そりゃあ受け取り拒否なんてできませんよね。 オタマジャクシや金魚先生の話かと思いきや、終盤はオタマジャクシを救うには水が必要で、そこへ現れた24色ゆめ列車に乗り、課題をクリアした絵を描くとご褒美が貰える(前半は水に因んだもの)が、尽く失敗。失敗し続けて車両を移動していくと、最終的には、幼い頃共に24色ゆめ列車を画用紙に描いた林くんがいた。 林くんは8人もの弟や妹を抱え、空襲の最中、火消しのため水を汲んでいて亡くなったとされていた。しかし、貴重な井戸水なので1家族当たり汲む回数の制限があり、たくさんの兄弟がいる林くんにとっては足りない量だった。なので、空襲警報が鳴り、皆が防空壕へ隠れている最中こそ、水の取り放題だと命懸けで汲んでいたのだった。 という戦争体験の話がメインだった。 各車両で出される詩のお題に対して、プースケ、A金先生らが描く中、失敗していく理由が無理やりに感じてもやもやした。 主人公の夢の中として、なんでもありといえばなんでもありだが、それが12ヶ月分である12回続くのがもどかしい。
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「林くんのハヤシライス」という言葉が頭に残っていて、20余年ぶりに再読。 主人公の「わたし」は、著者である福永先生本人。 童話作家である彼は、自然の中で、キジバトとおしゃべりしたり、オタマジャクシを育てたりしながら、暮らしている。 ある日、自然に帰したオタマジャクシたちが、日照...
「林くんのハヤシライス」という言葉が頭に残っていて、20余年ぶりに再読。 主人公の「わたし」は、著者である福永先生本人。 童話作家である彼は、自然の中で、キジバトとおしゃべりしたり、オタマジャクシを育てたりしながら、暮らしている。 ある日、自然に帰したオタマジャクシたちが、日照りの危機にあうことを心配した「わたし」は、キジバトの「ブースケ」、オタマジャクシの指南役であった金魚の「A金先生」とともに様子を見に行く。 そこに、雨雲とともに現れた、24色の巨大SL。 それは、「わたし」の幼少期の友人であり、戦火で亡くなった「林くん」が、24色のクレヨンで描いた「ゆめ列車」だった。 「わたし」と「ブースケ」「A金先生」の、ゆかいなやり取り。 小さな命が自然の中で生きていく困難。 あざやかな色彩と童謡で描かれるメルヘンの世界。 そして、体験したものでしか書けない戦時中のリアルな描写と、その中で生きる人々の、優しさ、悪意、たくましさ、いじらしさ、希望、絶望などが、五感に迫ってくる。 単なる反戦ではない、ただ「林くん」の切なる願いの強さに飲まれる。
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フクナガさんが主人公の異色作。ブースケとA金先生がそばにいる素敵な生活から、林少年と切ない戦争の思い出まで。
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珍しくおじさんが主人公だなと思ったら福永さん自身だった。自伝的な要素が濃く、福永さんの戦争体験が書かれており在日朝鮮人の同級生も登場する。とはいえクレヨン王国なので、金魚やおたまじゃくしやヤマバトが福永さんの友達として面白おかしく活躍するというほがらかさを持ちつつも、戦争による喪...
珍しくおじさんが主人公だなと思ったら福永さん自身だった。自伝的な要素が濃く、福永さんの戦争体験が書かれており在日朝鮮人の同級生も登場する。とはいえクレヨン王国なので、金魚やおたまじゃくしやヤマバトが福永さんの友達として面白おかしく活躍するというほがらかさを持ちつつも、戦争による喪失や自然破壊など福永さんのテーマとも言える主題が他のシリーズよりも強く書かれており読みごたえがあった。
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