セザンヌは何を描いたか の商品レビュー
セザンヌの作品をどう見るか、セザンヌの魅力は何か、わかっているようで上手く説明できないのを言葉にしてくれている本で、うんうんと頷きながら読んだり、セザンヌに関する新たな知識を得たり、学べるところがたくさんある本だと感じた。 ただ一つ残念なのが、本に載っている絵が全て白黒なので「こ...
セザンヌの作品をどう見るか、セザンヌの魅力は何か、わかっているようで上手く説明できないのを言葉にしてくれている本で、うんうんと頷きながら読んだり、セザンヌに関する新たな知識を得たり、学べるところがたくさんある本だと感じた。 ただ一つ残念なのが、本に載っている絵が全て白黒なので「ここの色が~」という説明があるたびにグーグルを隣に読み進めなければいけなかったこと。 セザンヌの色使いが好きな私には、色が全く見れないのはやや悲しかった。
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絵を描く大学に行くことにした人はみな「デッサン」というものをすることになる。私がその立場だった時に指導に当たった大人の人たちが口々に言ったのが「セザンヌの絵に学べ」。 「線ではなく面でとらえろ」とか「ものには固有の色というものはない。空は青ではない」とか、そんな感じのことを繰り返...
絵を描く大学に行くことにした人はみな「デッサン」というものをすることになる。私がその立場だった時に指導に当たった大人の人たちが口々に言ったのが「セザンヌの絵に学べ」。 「線ではなく面でとらえろ」とか「ものには固有の色というものはない。空は青ではない」とか、そんな感じのことを繰り返し言われたのだが、幼い頭にはちんぷんかんぷんで。判らない自分が駄目なのかと自信を失ったりしたものだ。 でも当時から「セザンヌさん」の描いた絵は好きで、展覧会にこの人の絵が出ていると「わーい」と嬉しく眺めていた。どこがどう好きなのか、なぜ優れていると感じるのかはわかっていなくとも、「ルノアールさん」が描く絵よりも「セザンヌさん」の絵の方がずっと好きだった。今もそう。 今思えば、セザンヌの絵の本質を、当時の幼い頭の私に何とか伝えようとした大人の人たちは、本当には理解できていなかったというか、真に腹入りしてはいなかったのだろう。人は本当に判っていることしか人に伝えることは出来ない。そして本当に判っていることでなければ平易な言葉で人に伝えることも出来ない。 この本を読むとそのことがよく判る。 図版がみんな白黒なのと、その絵について言及している文章と図版の場所が離れていたりするのがちょっと読みにくいけれども、書かれていることはまことに判りやすく本質を描き出している。 吉田秀和氏は絵描きさんではなかったのに、これだけの事が出来るのはものの本質をとらえる目が優れているということなのだろう。 読み始めるととまらなくなり、毎晩なかなか眠れない。そして同じ箇所を読み返したりする。 私が幼い頭で絵を描く学校を目指していたときにこの文章に出会えていたらなぁとも思うが、当時の頭ではやっぱり理解できなかったのかもしれない。 重要箇所に付箋を貼りながら読んでいたら本が付箋だらけになってしまった。買ったほうが早いかもしれない。(図書館で借りて読んでいる)
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(1997.02.08読了)(1997.02.01購入) (「BOOK」データベースより)amazon これは、セザンヌは何を描いて何を描かなかったかを、作品に即して綴ったセザンヌ物語である。名作《5人の水浴の女》をルノワールの《浴女たち》と比較して、セザンヌの画業のユニークさを...
(1997.02.08読了)(1997.02.01購入) (「BOOK」データベースより)amazon これは、セザンヌは何を描いて何を描かなかったかを、作品に即して綴ったセザンヌ物語である。名作《5人の水浴の女》をルノワールの《浴女たち》と比較して、セザンヌの画業のユニークさを浮彫りにすることから考察をはじめ、セザンヌの特徴を内部から照明し、その安定した建築的な構図、堅牢なフォルム、青と橙色を基調とする明快な色彩感覚の意義を証明しようと努める。セザンヌの作品に限らず、「絵を見る」ことの楽しさを深めてくれる好エッセイ。
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