バイリンガル の商品レビュー
卒論のために「バイリンガルとは何か」という定義を書こうとして、いくつか本を読んでも明確な定義がない中、この本は発行年は古いけど、結構わかりやすい(というか思いきった)定義をしていて参考になった。 日本語ー英語のバイリンガルの子どもの観察記録も興味深い。 同時バイリンガルの子どもに...
卒論のために「バイリンガルとは何か」という定義を書こうとして、いくつか本を読んでも明確な定義がない中、この本は発行年は古いけど、結構わかりやすい(というか思いきった)定義をしていて参考になった。 日本語ー英語のバイリンガルの子どもの観察記録も興味深い。 同時バイリンガルの子どもについて「統合言語期」と「言語分離期」があると述べ、「分離は早くて2歳以降と考えられる」と書いておられる(p.63)けれど、1歳から同時バイリンガル環境に置かれた子どもを2歳過ぎの現在まで観察してきた私としては、もう少し早いこともあるかもしれない、とは思う。 また、日本語と英語の否定表現の違い、出現時期なども興味深い研究テーマだと思う。 帰国子女、国際結婚家庭の子どもについての調査で、「親の観察評価と子ども自身の自己評価(から算出された習得速度)との間にずいぶん開きがある」(p.120)というのは、私も何人かのバイリンガルの人達からインタビューして感じたことだった。 日本のバイリンガルについて考えようとする人にとってはよい入門書になっていると思う。
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