天然(完全版) の商品レビュー

根本敬(著者)

2020/04/22

暗い狭い低い人生の物語。 土着の村文化に縛られ虐められながらも、それに抵抗しない主人公藤吉の報われることのない人生の話。しかし描かれているのは絶望ではなく日々の諦めだと思う。藤吉はたぶん最初から最後まで絶望していない。甲篇で自殺する狂人の平やんも絶望はしていないと思う。理不尽な環境に抵抗しないで生きる、狭い低い世界での生き方。絶望しないのは、辛いのが当たり前だから。諦めている。諦めつくした人は平やんのように自殺して、誰も悲しまない。 悲しいのは主人公藤吉には広い世界への扉が準備されていたこと。外へ進める可能性が開かれていた事。藤吉も静かに穏やかに悲しく狂っていたのだと感じさせるエピローグ。

2009/10/04

エログロ苦手なヒトにはお薦めできません。キレイなものでは表現できないキケンな香りが、ここに在る気がする＾＾ソウルフルな絶望と凶悪な狂気を覗き見たいなら、是非御一読ください。ぶっとびます。